奇門遁甲の引っ越し方位|九星気学との違いを建築士が解説

奇門遁甲と九星気学の引っ越し方位を考える建築士のイメージ

九星気学で吉方位を調べて引っ越したはずなのに、思うような変化を感じられなかった。そんな経験から「奇門遁甲」という占術の存在を知り、検索にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

奇門遁甲は出発する日時をもとに盤を組み立てる複雑な体系で、生年月日を起点にする九星気学とは前提そのものが異なります。そのため同じ引っ越し先を占っても、判定が食い違うことは珍しくありません。

この記事では、奇門遁甲の基本的な仕組みと九星気学との違いを整理したうえで、年盤・月盤・日盤・時盤の役割、そして方位の基準(磁北・真北)をめぐる専門家間の見解の違いまでお伝えします。一級建築士×占術研究家の視点から、判定が割れたときにどう判断材料を組み立てればよいかをお渡しすることが目的です。

この記事を読むと分かること
  • 奇門遁甲の基本的な仕組みと古典的な背景
  • 九星気学との考え方の違いと判断の優先順位
  • 年盤・月盤・日盤・時盤の役割と流派による違い
  • 方位の基準や引っ越しの実務手続きとの向き合い方

目次

奇門遁甲とは?引っ越しの方位選びに使われる理由

奇門遁甲の遁甲盤をイメージした古い占術盤と古典書籍
奇門遁甲は盤の上で複数の要素を組み合わせて読み解く体系です

奇門遁甲の成り立ちと古典

奇門遁甲は、天干地支や八門・九星などの要素を盤の上で組み合わせ、行動を起こす日時と方位の吉凶を読み解く占術です。中国大陸で長い年月をかけて体系化され、日本にも古くから伝わってきました。

創始にまつわる伝説として「黄帝が天帝から授かった」という言い伝えが知られていますが、この由来は歴史的な根拠に乏しいと指摘されています。奇門遁甲を紹介する資料の多くも、この伝説をそのまま史実として扱うことには慎重な姿勢を取っています。

古典としては『煙波釣叟歌』が知られており、北宋の時代に原型が作られ、後に明代の羅通が内容を増補・削除・修正したとされています。陰陽・八卦・九宮・奇門遁甲の教義を詩の形式でまとめた作品です。

原典に近い資料としては『奇門遁甲統宗大全』も挙げられます。京都大学附属図書館の河合文庫には、序文の年記が確認できるものとして最古級となる1705年の写本が所蔵されており、奇門遁甲が古くから体系立った書物として編まれてきたことをうかがわせます。

本記事では、編者や成立年代が確定できない情報については断定を避け、確認できた範囲だけをお伝えします。系譜や由来を面白く語る言説も見かけますが、裏付けが弱いものは参考情報にとどめる方針です。

建築士 匠庵

奇門遁甲は歴史のある占術ですが、伝説と史実は分けて捉える必要があります。古典の名前や年代も、確認できる範囲を超えて断定しないことを心がけています。

京都大学貴重資料デジタルアーカイブ「奇門統宗大全」では、実際に所蔵されている写本の画像を見ることができます。

遁甲盤を構成する要素(三奇六儀・八門・九星・八神)

複数の層が重なる遁甲盤の要素をイメージした古い天文機器
三奇六儀・八門・九星・八神は組み合わせて初めて意味を持ちます

奇門遁甲の遁甲盤は、いくつもの要素を重ね合わせて作られます。要素ごとの意味を単独で見るのではなく、組み合わせ全体で吉凶を判断する点が特徴です。

要素主な内容役割
三奇・六儀乙・丙・丁(三奇)、戊・己・庚・辛・壬・癸(六儀)甲を除く九つの干を吉凶の質で分類したもの
八門休門・生門・傷門・杜門・景門・死門・驚門・開門出発地から見た方位ごとの行動の吉凶を示す基本軸
九星天蓬・天芮・天冲・天輔・天禽・天心・天柱・天任・天英他の要素と組み合わさって初めて意味が定まるとされる
八神直符・螣蛇・太陰・六合・勾陳・朱雀・九地・九天運気を助けたり妨げたりする補助的な役割を持つとされる
九宮一白から九紫までの九つの宮九星気学とも共通する要素で、盤の中では補助的な位置づけ

なお甲そのものは「甲尊(六甲)」として特別に扱われ、単独では盤面に現れず他の儀の下に隠れる形で配置されるとされています。数ある要素の中でも中心的な存在として位置づけられています。

占術家

八門や九星は、それ単体では吉凶の答えになりません。どの八神と組み合わさり、どの干が巡っているかまで見て、初めて意味が定まる体系です。

このように奇門遁甲は要素の数が多く、組み合わせ次第で解釈が変わる複雑な体系だと言えます。次の見出しでは、よりシンプルな構造を持つ九星気学との違いを整理していきます。

九星気学の吉方位との違い

奇門遁甲と九星気学は、同じ「方位を占う」占術でありながら、判断の起点がまったく異なります。九星気学は生年をもとにした本命星を起点に、年盤・月盤を重ねて吉凶を判断するシンプルな構造です。

一方の奇門遁甲は、出発する日時から盤を組み立て、十干・八門・八神・九星などの要素を組み合わせて判断する、より複雑な体系だとする整理があります。「奇門遁甲は個人の生年月日を使わない」という説明も見られますが、これは一部の資料に基づく整理であり、断定はできません。

実務的な違いとして、九星気学は生年さえ分かれば比較的短時間で吉方位を割り出せますが、奇門遁甲は出発時刻や地点によって盤そのものが変わるため、同じ人でも状況次第で結果が変わります。この違いが、二つの占術を単純に比べにくくしている一因だと考えられます。

ユイ

九星気学では吉方位でも、奇門遁甲だと違う結果になることがあると聞いて、北へ行くべきか北東へ行くべきか分からなくなってしまいました。

流派による違い

判断の前提が異なる占術どうしを比較すること自体に慎重な立場もあれば、両方を照らし合わせて総合的に判断すべきだとする立場もあります。どちらが正しいかを一概に決めることはできません。

建築士 匠庵

前提が違う物差しで測った結果を単純に比べても、優劣は決められません。まずはどちらの体系で何を見ているのかを分けて理解することが出発点になります。

読者の立場からすると、どちらか一方に「正解」を求めたくなる気持ちは自然なことです。ただし体系そのものが異なる以上、まずは両者が何を根拠に方位を出しているのかを理解したうえで、判断材料として両方に目を通す姿勢が現実的だと言えます。

九星気学の吉方位の基本的な考え方は九星気学の後天定位盤や凶方位の基礎で詳しく解説しています。年盤・月盤を使った具体的な調べ方は九星気学の年盤・月盤から吉方位を調べる方法もあわせてご覧ください。

奇門遁甲と九星気学はどちらを優先すべきか

SNSや動画サイトでは「九星気学は意味がない」「奇門遁甲だけが正しい」といった対立をあおる発信が高い再生数を集めている状況があります。断定的で分かりやすい主張ほど拡散されやすい面がありますが、本記事はその煽りには乗りません。

対立をあおる発信は、どちらか一方を信じれば迷いがなくなるという分かりやすさで支持を集めやすい面があります。ただし実際には、体系ごとに得意とする視点が異なるだけで、片方が全面的に誤っているというわけではありません。

奇門遁甲と九星気学は、そもそも判断の前提が異なる体系です。どちらが当たるかという優劣を単純比較するのではなく、「体系が異なるため単純比較できない」という理解を出発点にするのが現実的だと考えます。

そのうえでおすすめしたい判断の順序は、まず九星気学側の本命星と吉方位を確認し、そこに奇門遁甲の見方を重ねて総合的に検討するという進め方です。九星気学は本命星さえ分かれば比較的シンプルに吉方位を把握できるため、判断材料の土台として扱いやすい体系だと言えます。

この順序をおすすめする理由は、九星気学のほうが必要な情報が少なく、判断の土台として扱いやすいためです。土台が定まったうえで奇門遁甲の視点を重ねれば、食い違いが出たときにもどこで意見が分かれているのかを整理しやすくなります。

本命星をもとにした九星気学側の吉方位は、無料の自動計算ツールで手軽に確認できます。奇門遁甲専用の判定ツールではありませんが、判断の出発点として九星気学側の吉方位を先に押さえておくと、奇門遁甲との違いも整理しやすくなります。

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奇門遁甲で引っ越しの方位と時期を調べる手順

年盤・月盤・日盤・時盤のイメージを示すカレンダーと時計と方位磁針
奇門遁甲は年・月・日・時で異なる盤を使い分けます

年盤・月盤・日盤・時盤の役割と効果期間

年盤・月盤・日盤・時盤の効果期間の違いをイメージした4つの時間軸の道具
年盤は約60年、月盤は約60ヶ月など効果期間の目安が異なります

奇門遁甲では、年盤・月盤・日盤・時盤という4種類の盤を使い分けます。それぞれ対象とする期間の長さが異なり、目的によって主に見る盤が変わるとされています。

盤の種類効果期間の目安主な用途
年盤約60年不動産(土地)の購入など長期の判断
月盤(立向盤)約60ヶ月(5年)引っ越し(転居)の主軸として使われる
日盤24時間〜1ヶ月未満出張や短期の移動の判断
時盤さらに短い時間単位当日の行動・移動方向の判断

この整理は、日本で奇門遁甲を実践する複数のサイトに共通して見られる考え方で、月盤(立向盤)を引っ越しの主軸として扱う立場に基づいています。効果期間はあくまで目安であり、資料によって表現に幅があります。

たとえば同じ引っ越しでも、賃貸の住み替えなのか、土地を購入して家を建てるのかによって重視する盤が変わってきます。土地の購入であれば年盤の影響がより長く続くとされるため、慎重に時期を選びたいところです。

引っ越し先を検討する場合は、まず月盤で全体の方向性をつかみ、実際の移動日が近づいたら日盤・時盤で細部を調整する、という流れで使われることが多いようです。もっとも、この使い分け自体にも流派による違いがあるため、次の見出しで異なる見解を紹介します。

九星気学側の年盤についてまとめて確認したい場合は、九星気学の年盤早見表もあわせてご覧ください。

引っ越しに使う盤は流派で違う

前の見出しで紹介した「月盤を引っ越しの主軸にする」という考え方は、奇門遁甲のすべての実践者に共通しているわけではありません。異なる見解を示す流派も存在します。

流派による違い

ある方位鑑定士は、数日から1週間程度の短期の移動については「時盤」「日盤」だけで判断すべきで、年盤・月盤は関わらないという独自の見解を示しています。根拠は、盤ごとに想定される作用期間と移動のスケールが釣り合わないという考え方です。

ただし、この見解が主な対象としているのは「旅行」であり、「引っ越し(転居)」への直接適用を明言したものではありません。旅行と引っ越しでは移動の性質や生活への影響の大きさが異なるため、同じ考え方をそのまま当てはめてよいかは慎重に見る必要があります。

建築士 匠庵

短期の移動と長期の生活拠点の移動を、同じ理屈で語ってよいかは私自身も迷うところです。異なる流派の見解を知ったうえで、自分の状況に近い考え方を選ぶ姿勢が現実的だと考えています。

仮に短期の移動と同じ理屈を引っ越しにも当てはめるとすれば、年盤・月盤を軽視してよいという結論になりかねません。しかし引っ越しは生活の拠点そのものを変える行為であり、旅行とは影響の及ぶ範囲が大きく異なります。

このように、引っ越しにどの盤を主に使うかという点だけを取っても、専門家の間で見解が分かれています。複数の見解が並立している以上、どちらか一方だけを鵜呑みにするのではなく、両方の考え方を知ったうえで自分の状況に近いものを選ぶという姿勢が現実的です。

吉格・凶格の見方と凶方位への不安との向き合い方

ユイ

以前、吉方位だと言われた場所へ引っ越したのに、引っ越し当日にトラブルが重なったり新生活がなかなか落ち着かなかったりして、方位選びが本当に正しかったのか不安になったことがあります。

このような不安は珍しいものではありません。方位の吉凶と、引っ越し前後に起こる出来事すべてを結びつけて考えてしまうと、かえって気持ちが休まらなくなってしまいます。

奇門遁甲には、組み合わせによって吉凶の強さが変わる「格」という考え方があり、個人の鑑定者のブログなどでは具体的な格の名前が紹介されることもあります。ただしこうした情報は原典的な裏付けが弱く、あくまで「こういう考え方を示す例もある」という参考情報として捉えるのが無難です。

格局の名称を数多く覚えることよりも、なぜその組み合わせが吉または凶とされるのか、大まかな考え方を理解しておくほうが実用的です。細かな名称に振り回されて不安が増してしまっては本末転倒だと言えます。

奇門遁甲を扱う個人の鑑定者の間では、月盤で凶と出た時期に引っ越すことを指して「五年殺」や「大凶転居」と呼ぶことがあります。これは一部の鑑定者が用いる呼び方であり、効果の及ぶ期間や定義が資料によって共通しているわけではありません。

格局・凶方位の呼び方についての注意

格局の名称や凶方位の呼び方について、書名や成立年代まで裏付けが取れる一次資料は限られています。断定的な情報として受け止めるのではなく、判断材料のひとつとして参考程度に扱うことをおすすめします。

情報の一つひとつに一喜一憂するよりも、全体の傾向をつかんだうえで、気になる点があれば専門家に確認するという使い方のほうが、精神的な負担も少なく済みます。

建築士 匠庵

凶と出たことよりも、そのあとどう向き合うかのほうが大切だと考えています。占術の結果は一つの視点であり、暮らし全体を決めてしまうものではありません。

自分で調べる限界と個別鑑定を使う判断基準

ここまで見てきたように、奇門遁甲の遁甲盤は要素の数が多く、組み合わせによって意味合いが変わります。書籍やサイトの説明を読みながら自分で盤を組み立てて判断するには、ある程度の学習と時間が必要です。

特に、九星気学と奇門遁甲で判定が食い違う場合や、転勤などで引っ越しの時期そのものを選べない事情がある場合は、自己判断だけで結論を出すのが難しい場面も出てきます。そうした個別の事情まで踏まえて相談したい場合は、専門の鑑定を利用するという選択肢があります。

独学で学ぶこと自体は否定しませんが、要素の意味を一つずつ調べていくうちに、当初の疑問から離れてしまうことも珍しくありません。基本的な仕組みを押さえたら、細部の判断は専門家に委ねるという線引きも一つの方法です。

2026年9月現在、期間を区切った「〇年〇月〜」という形式の引っ越し方位の解説や、日々の時盤を発信する情報がSNS上で増えている状況も見られます。情報量が増えるほど、どれを信じればよいか迷いやすくなるのも事実です。発信者によって重視する盤や解釈が異なるため、複数の情報を比べるだけでもかなりの時間がかかってしまいます。

建築士 匠庵

情報を集めること自体は大切ですが、最終的な判断は自分一人だけで抱え込まなくても構いません。九星気学と奇門遁甲の見方が食い違って迷うときこそ、第三者の視点を借りる価値があります。

個別の状況に合わせて方位や命式を詳しく知りたい場合は、電話占いを利用して相談してみるのもひとつの方法です。

建築士が考える方位と引っ越し実務の両立

建築士が方位磁針と図面と引っ越しスケジュールを検討するイメージ
占術の理と建築の実、実務のスケジュールを重ね合わせて考える視点

方位の基準は磁北か真北か

方位磁針が示す磁北と設計図の真北を対比したイメージ
家相の磁北と建築基準法の真北にはズレがあるとされています

奇門遁甲に限らず、方位を扱う占術全般に関わる大きな論点として「北をどこに取るか」という問題があります。これは「占術の理」と「建築の実」が正面からぶつかる、象徴的なテーマのひとつです。

この論点が厄介なのは、どちらの立場にもそれぞれの理屈があり、一方が明確な誤りだと言い切れない点です。長い歴史を持つ占術の伝統と、現代の建築基準という異なる体系がぶつかり合っている状態だと捉えると理解しやすくなります。

流派による違い

家相や風水の伝統的な立場では、方位磁針が示す磁北を基準にする考え方が主流とされています。「自然の理」に沿った方位取りだという考え方が根拠になっています。

一方で、建築基準法が採用しているのは真北です。磁北は経年で少しずつズレていくことや、周辺の電磁波の影響を受けやすいことを理由に、設計士・建築士出身の家相家の中には真北を主張する立場もあります。

磁北と真北のズレは地域によって幅がありますが、日本全体でおおむね3〜10度、東京ではおおむね7〜8度が目安とされています。この数値はあくまで目安であり、正確なズレは所在地によって変わる点にご注意ください。

日常生活の中でこのズレを意識する機会は少ないかもしれませんが、方位を厳密に扱う占術や設計の場面では、数度の違いが方角の判定そのものを変えてしまうこともあります。方位磁針だけに頼らず、地図や測量データも参考にすることをおすすめします。

設計の現場では真北を基準に図面を描くのが通常です。占術の伝統と実務上の基準がずれる場面があることは、知っておいて損はありません。

建築士 匠庵

家相の「占術の理」と建築基準法の「建築の実」、どちらか一方だけが正しいと決めつけることはできません。私はこの2つに加えて暮らしの利も含めた3つのものさしで、住まいの判断材料をお伝えするようにしています。

契約日・引越し日・入居日のどれを基準にするか

奇門遁甲で盤を読む際、引っ越しに関わる「契約日」「引越し作業日」「入居日」のどれを基準日にするべきかという疑問もよく聞かれます。この点について、明確な線引きを示した一次資料はこの記事の調査範囲では見当たりませんでした。

確認できた範囲では、実際に引っ越し(移動)を行う月日時を基準に、月盤・日盤・時盤を組み合わせて判断するという記述にとどまっています。契約日をまったく無視してよいと明言した資料もないため、どこか一点だけを唯一の基準とする考え方には慎重であるべきだと考えます。

実際の引っ越し作業では、契約・引き渡し・入居のスケジュールが天候や業者の都合で前後することも珍しくありません。占術上の基準日を厳密に守ろうとするあまり、実務的な調整が難しくなってしまっては本末転倒です。

引っ越しの実務手続きとしては、住民票の異動も忘れてはいけません。総務省のページでは、他の市区町村へ転出・転入する場合は転出前に転出届を提出し、転入した日から14日以内に転入届を提出するとされています。同じ市区町村内での転居の場合も、転居した日から14日以内に転居届を提出する必要があるとされています。

総務省「住民の住所異動や転出届などの手続き」のページでは、正当な理由なく届出をしない場合は過料の対象になり得るとも案内されています。方位の判断とあわせて、こうした法定の手続き期限も押さえておくことをおすすめします。

占術上の基準日に迷ったときほど、実務面の判断は建築士・施工業者にご相談をいただくと、スケジュール全体を整理しやすくなります。方位の判断と実務の段取りは、切り離して考えるくらいがちょうどよいと感じています。

なお、引っ越しのタイミングそのものを年単位・月単位で見直したい場合は、年運・月運から引っ越し時期を見る方法もあわせてご確認ください。

凶方位を避けられないときの現実的な落としどころ

採光や風通しのよい間取りで暮らしを整える新居のイメージ
凶方位でも間取りの工夫次第で暮らしやすさは変えられます

転勤や家族の事情などで、引っ越しの時期そのものを選べない状況も少なくありません。奇門遁甲や九星気学で見て凶方位・凶時期にあたってしまう場合、どう向き合えばよいのでしょうか。

時期を選べない事情がある場合、無理に吉方位・吉時期を追い求めようとすると、かえって仕事や家族の予定に支障が出てしまうこともあります。占術上の理想と、実生活で動かせる条件との間で折り合いをつける視点が欠かせません。

占術の世界には、方違えのように、いったん別の場所を経由してから目的地へ向かうといった、凶方位の影響を和らげるとされる一般的な対処法も伝えられています。ただし、こうした対処法の効果を保証する裏付けまでは確認できておらず、確実な解決策として断定することはできません。

方違えのような対処法は、古くから伝えられてきた知恵ではありますが、現代の生活スタイルに無理なく取り入れられるかどうかも考慮する必要があります。実行が難しい場合に無理をしてまで行う必要はありません。

方位そのものを変えられない事情があるなら、新居の間取りの質や住環境の整え方で補うという発想もあります。採光や風通し、動線のよい間取りを選ぶことは、方位にかかわらず暮らしやすさに直結する要素です。

新居の間取りを選ぶ際は、方位だけでなく採光や風通し、家事動線といった建築的な条件も含めて総合的に見ていくことが大切です。凶方位とされる場所であっても、間取りや使い方の工夫次第で暮らしやすさは大きく変わります。

建築士 匠庵

凶方位だからとあきらめるのではなく、新居でどう暮らしを整えるかという視点に切り替えることをおすすめしています。間取りの選び方まで含めて相談したい場合は、一級建築士の視点から診断を受けることもできます。

奇門遁甲と引っ越しのよくある質問とまとめ

疑問を整理し新居で落ち着いて暮らし始めるイメージ
奇門遁甲と引っ越しのよくある疑問を整理し新生活へ

よくある質問

ここでは、奇門遁甲と引っ越しに関して読者からよく寄せられる疑問を、これまでの内容を踏まえて簡潔にまとめます。細かい背景や根拠については、それぞれ本文中の該当する見出しもあわせてご確認ください。

Q. 奇門遁甲と九星気学、引っ越しにはどちらを使うべき?

両者は前提が異なる体系のため、優劣を単純比較することはできません。まずは九星気学の本命星と吉方位を確認し、奇門遁甲の見方も参考にしながら、判定が食い違う場合は個別の鑑定に相談することをおすすめします。

Q. 吉方位へ引っ越したのに悪いことが起きるのはなぜ?

占術の結果は一つの傾向を示すものであり、引っ越し後の出来事すべてを保証するものではありません。新居のトラブルには物件の設備や近隣環境など、方位以外の要因が関わっていることも多くあります。

Q. 奇門遁甲は自分で吉方位を調べられる?

要素が多く組み合わせで意味が変わるため、独学での判断にはある程度の学習が必要です。基本的な仕組みを理解したうえで、状況が複雑な場合や時間が取れない場合は、個別の鑑定を活用するのも現実的な方法だと考えられます。

Q. 2026年に引っ越すなら奇門遁甲の盤はいつ切り替わる?

奇門遁甲の盤は、年や月の節目である節入りのタイミングで切り替わるという一般的な考え方があります。本記事では奇門遁甲固有の2026年の方位数値は扱いません。2026年の九星気学における吉凶方位もあわせてご確認ください。

まとめ:奇門遁甲を引っ越しに活かす3つのものさし

奇門遁甲は要素の多い複雑な体系で、九星気学とは前提そのものが異なります。どちらか一方だけを重視するのではなく、両方の見方を知ったうえで判断材料を組み立てることが大切だとお伝えしてきました。

年盤・月盤・日盤・時盤の役割や、引っ越しに使う盤についての流派の違いを見てきました。方位の基準となる磁北・真北の考え方も、専門家の間で意見が分かれる点でした。

契約日・引越し日・入居日のどちらを基準にすべきかという実務上の疑問についても、明確な統一見解は確認できませんでした。占術上の判断と、建築士や不動産・引越業者への実務的な相談を、それぞれ別の軸として扱うことをおすすめします。

凶方位をどうしても避けられない事情がある場合も、新居の間取りや住環境の整え方でできることは数多くあります。占術の結果だけにとらわれず、暮らし全体を見渡す視点を持っていただければと思います。

建築士 匠庵

方位選びに唯一の正解はありません。占術の理、建築の実、暮らしの利という3つのものさしを行き来しながら、ご自身が納得できる判断にたどり着いていただければと思います。

  • 奇門遁甲は八門・八神・九星・十干を組み合わせる複雑な体系
  • 九星気学は生年の本命星を起点にするシンプルな体系とされる
  • 両者は前提が異なるため優劣を単純に比較できない
  • 月盤は約60ヶ月(5年)効果が続くとされ引っ越しの目安になる
  • 年盤は不動産購入、日盤は短期の移動に使われるとする流派もある
  • 短期の移動は時盤・日盤のみで十分とする異なる見解も存在する
  • 旅行向けの見解を引っ越しにそのまま適用できるかは要確認
  • 吉格・凶格の具体名は出典が弱く参考程度にとどめるのが無難
  • 方位の基準は磁北派と真北派で専門家の見解が分かれている
  • 家相の伝統は磁北、建築基準法は真北を採用している
  • 契約日・引越し日・入居日のどれを基準にするか統一見解はない
  • 引っ越しの実務手続きは建築士・不動産・引越業者に相談したい
  • 転出・転入届は原則14日以内という法定期限があるとされる
  • 凶方位を避けられないときは新居の間取りの質で補う選択肢もある
  • 最終的にはご自身の状況・命式と合わせて判断することが大切

奇門遁甲と九星気学は前提が異なるため、優劣を単純に比較することはできません。占術の理・建築の実・暮らしの利という3つのものさしを踏まえながら、最終的にはご自身の状況・命式と合わせてご判断いただくことをおすすめします。

引っ越しの方位選びについて、あわせて読みたい記事をご紹介します。九星気学ベースの吉方位の調べ方や、年ごとの方位の違いを知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。

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この記事を書いた人

一級建築士・一級建築施工管理技士。数多くの住まいの設計・施工管理に携わってきた建築の専門家です。「同じ間取りでも住む人で運気が変わるのはなぜか」という現場での疑問から東洋占術を学び始めました。
不安を煽らず、建築の理屈で占いを読み解くのがモットー。
占いを盲信せず、建築のプロの視点で「住み心地と運気」をわかりやすく翻訳します。

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