「L字型のプランを提案されたけれど、家相的に良くないと聞いた」「もう建ててしまったのに、今さら風水が悪いと言われて不安」——L字型の家をめぐるこの2つの声は、実はどちらも同じ疑問に行き着きます。L字型は本当に凶相なのか、それとも建築的な合理性の方が優先されるべきなのか、という疑問です。結論から言えば、L字型は家相・風水では「欠け」が生じやすい形状として伝統的に語られてきた一方、採光やゾーニングの面では建築的な利点も多く、どちらか一方が絶対に正しいわけではありません。大切なのは、欠けの有無・大きさ・方位を確認したうえで、対策と設計上の配慮を両立させることです。この記事では、一級建築士であり占術研究家でもある匠庵が、占術の理と建築の実の両面からL字型の家を整理します。
- L字型の家がなぜ家相・風水で「欠け」とされるのか、その判定基準
- 自分の家(プラン)の欠けの有無・位置を確認する具体的な手順
- これから建てる場合/すでに建てた場合、それぞれ取るべき現実的な対策
- 地震や建築コストに関する不安への、建築的に踏み込んだ答え
L字型の家の風水・家相が「欠け」とされる理由

「欠け」とは何か——矩形に対する凹みの考え方

家相・風水でいう「欠け」とは、建物の外形を長方形(矩形)で囲んだときに凹んでいる部分を指します。L字型の家は、矩形の一角が凹んだ形そのものなので、この定義にそのまま当てはまりやすい形状です。一般的な目安として、凹みの大きさが建物全体のおおむね1/3を超えると「欠け」として影響が語られやすいとされています。ただしこの1/3という数値は、特定の家相流派・古典書籍まで出典を遡って確認できたものではなく、複数の家相系の解説で共通して語られている二次的な目安にすぎません。断定的な数値として受け取るのではなく、あくまで判断材料の一つとして扱うのが妥当です。
ユイうちのプラン、玄関横が少し凹んでるんですけど、これって「欠け」になるんでしょうか?



凹みの割合と方位次第です。次の章で確認の手順をお伝えしますが、まずは「凹み=即NG」ではないと知っておいてください。「1/3を超えるかどうか」と「どの方位に出ているか」の2点で判断の重みが変わってきます。
「太極」については流派によって重視の度合いが異なります。次の項目で詳しく触れます。
太極(家の中心)が外に出るとはどういうことか
太極とは、家相・風水で家全体の重心・気の中心を指す考え方です。矩形の建物であれば太極は建物の内側に収まりますが、L字型のように凹みの大きい形状では、幾何学的な重心(太極)が建物の外側にはみ出してしまうことがあります。これが「気の中心が定まらない」という表現で語られる根拠の一つとされています。この説明は複数の風水系の解説サイトで共通して言及されているものの、特定の古典書籍名までは今回の調査では確認できておらず、二次情報である旨を明記しておきます。実際に太極の位置を求める簡易な方法としては、間取り図に最小の矩形を当てはめ、その対角線が交わる点を目安にするやり方がよく紹介されます。L字型の場合、この交点が凹んだ部分(建物の外)に出てしまうことがあり、これが「太極が外に出る」と表現される具体的な状態です。あくまで幾何学的な重心の話であり、家族の運気そのものが即座に左右されると断定できるものではありません。
太極の扱いは流派により重みが大きく異なります。太極の位置を非常に重視する流派もあれば、方位や欠けの割合を優先し太極への言及自体が薄い流派もあります。「太極が外に出ている=即座に問題」と単純化せず、あくまで複数ある判断材料の一つとして受け止めるのが妥当です。
「欠け」と「張り」の違い——素人判断で迷いやすいポイント
L字型の建物には、出っ張っている側と引っ込んでいる側の両方が存在します。出っ張っている部分は「張り」、引っ込んでいる部分が「欠け」と呼ばれ、家相の吉凶判断ではこの2つで力点が異なります。一般的には「張り」は「欠け」ほど問題視されにくいとされますが、この判定は流派や鑑定士によって見解が分かれる論点でもあります。実際、Yahoo!知恵袋には「L字の家は家相上問題があるのか、欠けに該当せず張り出しに該当するのでは」という施主自身の投稿があり、素人目には欠けか張りかの判断自体が難しいことがうかがえます。判断に迷いやすい理由の一つは、L字型の建物では見る角度によって「出っ張っている」ようにも「引っ込んでいる」ようにも見えてしまう点にあります。次の項目で紹介する「矩形を当てはめる」手順は、この見た目の印象に左右されず、機械的に欠けと張りを切り分けるための具体的な方法です。感覚だけに頼ると、実際は軽微な張りにすぎない部分を過剰に不安視してしまうケースも少なくありません。



欠けと張り、見た目が似ていて自分では判断がつかないです……。



そこは無理に自己判断せず、次の章でお伝えする「矩形を当てはめる手順」で機械的に確認するのが確実です。感覚だけで判断すると、張りを欠けと誤認してしまうケースが少なくありません。
鬼門・裏鬼門と欠けが重なるときの注意点
欠けの位置が北東(鬼門)または南西(裏鬼門)に重なる場合、家相・風水では特に注意すべき箇所とされています。これは複数の解説で共通して語られる論点ですが、鬼門・裏鬼門の角度範囲(艮・坤としてどこまでを含めるか)は流派によって細部が異なります。ある流派では45度の範囲で厳密に区切る一方、別の流派ではより広い範囲、あるいは角度そのものより「北東寄り・南西寄り」という大まかな方位感で捉えることもあります。
鬼門・裏鬼門の角度範囲は流派により差があるため、「ぴったり北東45度でなければ問題ない」と安心しきるのではなく、おおよそ北東・南西寄りに欠けがある場合は次の章の確認手順で丁寧にチェックすることをおすすめします。家相・風水の判断は流派により異なる旨を踏まえたうえで、最終的にはご自身の状況・命式と合わせてご判断をいただくのが望ましい向き合い方です。
家相・風水と間取り全体の関係をより広く知りたい方は、【建築士監修】風水で良い間取りの例7選|玄関・水回りの正解もあわせてご覧ください。鬼門・裏鬼門と部屋の関係をさらに詳しく知りたい方には、風水で南西の部屋は本当にNG?建築士が流派3つの見解と対策を解説も参考になります。
自分の家の「欠け」を確認し対策する方法


矩形を当てはめて欠けの有無・大きさを確認する手順


自分の家に欠けがあるかどうかは、感覚ではなく手順に沿って確認すると迷いが少なくなります。
- 間取り図全体を囲むように、最小の矩形(長方形)を重ねる
- 矩形からはみ出さずに凹んでいる部分(引っ込んでいる部分)の位置を特定する
- その凹みの面積が、矩形全体の面積に対してどのくらいの割合かを確認する
- 凹みが方位でいうとどの方角に位置しているかをコンパスや方位アプリで確認する
この4ステップを踏むだけで、「なんとなく気になる」という状態から「1/3を超えているか」「鬼門・裏鬼門に重なっているか」という具体的な判断材料に落とし込めます。図面が手元にない場合は、住宅会社から受け取ったプラン図やパースでも代用可能です。手順を踏むうえでのポイントは、矩形をどこに当てはめるかで結果が変わってしまわないよう、必ず「建物全体を過不足なく囲む最小の矩形」を基準にすることです。ベランダや玄関ポーチなど、屋根の有無や構造上の扱いが曖昧な部分は、住宅会社に「外形として矩形に含めるべきか」を確認しておくと、より正確な判断材料になります。
欠けの方位別に気をつけたいポイント
欠けがどの方位に出ているかによって、家相上言われる象意(影響が及ぶとされる分野)は変わってきます。例えば北東(鬼門)は相続や不動産に関わる分野、南西(裏鬼門)は家庭内の安定に関わる分野として語られることが多いとされていますが、この方位と象意の対応関係も流派により差があります。ある流派では八方位すべてに細かく象意を割り振る一方、別の流派では鬼門・裏鬼門以外の方位への言及は比較的軽微です。例えば北の欠けは金運・貯蓄、東の欠けは活力・仕事運、南の欠けは名誉・人気運といった形で語られることもありますが、これらはあくまで複数の解説で共通して見られる一般的な傾向であり、特定の古典まで出典を遡って確認できたものではありません。方位ごとの象意を細かく気にしすぎるよりも、まずは鬼門・裏鬼門にかかっているかどうかを優先的に確認するのが現実的な向き合い方といえます。
方位ごとの象意は流派により対応関係が異なります。特定の方位に欠けがあるからといって、その分野に必ず悪影響が出るという断定的な受け止め方は避け、あくまで「気をつけておきたい傾向」として捉えるのが妥当です。
観葉植物・盛り塩など今すぐできる対策アイテム


間取りを変えられない場合でも、伝統的に用いられてきた対策アイテムはいくつかあります。代表的なのは観葉植物、盛り塩皿、鏡の3つです。観葉植物は欠けの方位に生気を補うものとして置かれることが多く、丸みのある葉のものが好まれる傾向があります。盛り塩皿は玄関や欠けの角に置き、清潔に保つことが重視されます。鏡は欠けの方角に向けて設置し、空間を広く見せる、あるいは気の流れを補うという考え方で使われます。いずれも「なぜその対策とされるのか」は伝統的な解釈に基づくものであり、科学的に効果が証明されているわけではありませんが、日々の暮らしの中で意識を向けるきっかけとして取り入れている方は少なくありません。



対策アイテムを置く場合は、置きっぱなしで手入れを怠らないことが大切です。枯れた観葉植物や汚れた盛り塩皿は、かえって気を淀ませると言われています。
モンステラなど観葉植物を欠けの方位に置く際の具体的な方角の選び方は、風水でモンステラを置く方角5選|建築士が採光と運気から解説で詳しく解説しています。
自分の家の吉凶を無料で調べる方法
ここまでの手順で欠けの有無や方位の目安は確認できますが、実際の間取り図をもとに方位を正確に割り出し、鬼門・裏鬼門との重なりまで具体的に確認したい場合は、当サイトの風水自動計算ツールをご利用いただけます。生年月日や間取りの向きを入力するだけで、方位の目安を簡易に確認できます。
あなたの家の「吉方位」、ご存じですか?
生年月日と自宅の向きを入れるだけ。本命卦・八宅の吉凶8方位を自動診断し、住まいの風水を100点満点でスコア化します。
風水 自動計算ツールを使ってみる →


手順は分かったんですが、方位磁石だけだと自信が持てなくて……。



そういう時こそツールで一度目安を確認してみてください。それでも判断に迷う部分が残るなら、次の章でお伝えする鑑定という選択肢もあります。
これから建てる人/すでに建てた人が取るべき行動


採光・ゾーニングという建築的なメリットを踏まえた判断


家相・風水の懸念だけでL字型を避けるかどうかを決める前に、建築的な実利も並べて見ておく必要があります。L字型の間取りは、2方向(例えば南面と東面)に開口部を確保しやすく、採光・通風の面で矩形の総二階建てより有利になるケースが少なくありません。また、L字の折れ目を境にLDKと個室ゾーンを分けやすく、生活動線のゾーニングがしやすいという特徴もあります。二世帯住宅や、旗竿地・変形地のように敷地形状に制約がある土地では、矩形にこだわるよりL字型を選ぶ方が結果的に暮らしやすくなる場合も多くあります。
これは「占術の理」と「建築の実」がぶつかりやすい典型的な場面です。家相上の欠けの懸念と、採光・ゾーニングという建築的な実利のどちらか一方だけを見て判断するのではなく、両方を並べたうえで「暮らしの利」に照らして落としどころを探ることが大切だと考えています。占術の理・建築の実・暮らしの利という「3つのものさし」で考えると、判断の軸がぶれにくくなります。設計の現場でも、欠けを完全になくすことを最優先にした結果、採光やゾーニングの良さを失ってしまうプランをお勧めすることはありません。欠けの割合を1/3未満に抑える微調整と、2方向採光を活かす配置を両立できないか、まず設計担当者と一緒に検討してみる価値があります。
耐震性・建築コストの実際——「凹凸部の設計」が鍵


L字型の家について、「耐震性が低いのでは」という不安の声もよく聞かれます。ただし、この主張を「L字=耐震性が低い」とそのまま断定するのは正確ではありません。矩形の総二階建てと比較すると、L字型のような凹凸のある形状では地震時に凹凸部分へ応力が集中しやすいため、その部分の構造設計・接合部の配慮がより重要になる、というのが実務的に妥当な理解です。耐力壁のバランスや接合部の補強を適切に設計すれば、L字型であっても十分な耐震性を確保することは可能です。形状そのものが弱点なのではなく、設計上の手当てが矩形以上に求められるということです。
建築コストについても、外壁面積や屋根形状が複雑になる分、矩形の建物に比べて割高になりやすい傾向があります。
本記事で触れる建築コストの傾向は執筆時点(2026年7月)の一般的な参考値であり、実際の金額は建築会社・仕様・地域によって大きく変動します。詳細な見積もりは必ず個別に依頼してください。
耐震設計に関するより詳しい制度的な背景は、国土交通省の耐震化に関する公式ページでも確認できます。また、構造耐力に関する法的な基準は建築基準法施行令に定められています。
これから設計する場合に配慮したいこと
まだ設計段階で、L字型プランを検討中の方向けの配慮点です。まず、間取りの微調整で欠けの割合を1/3未満に抑えられないか、設計担当者に相談してみる価値があります。凹みをわずかに縮める、あるいは凹みの位置を鬼門・裏鬼門から外せないか検討するだけでも、家相上の懸念はかなり和らぎます。次に、採光やゾーニングのメリットを活かしつつ耐震性を確保するため、凹凸部の耐力壁配置・接合部の設計についてハウスメーカーや工務店に具体的に確認しておくことをおすすめします。「L字にすると地震に弱くなりませんか、凹凸部の構造設計はどう考えていますか」と直接尋ねることで、担当者の説明の丁寧さや理解度も見えてきます。



設計の現場では、L字型プランのご相談時に「家相が気になる」というお声をいただくことは少なくありません。その際は、欠けの割合と方位を一緒に確認したうえで、設計上できる微調整と、対策アイテムでの対応の両方をご提案するようにしています。
こうした相談は建築士・施工業者にご相談をいただくのが確実です。
L字型プランで欠けや方位が気になる方は、複数のハウスメーカー・工務店の間取りプランを比較しながら検討するのも一つの方法です。設計段階であれば、欠けの縮小や配置変更の相談もしやすくなります。
すでに建てた家でできる現実的な対策
すでにL字型の家を建てた、あるいは建築中で間取り変更が難しいという方向けの対策です。この場合、まず前提として、間取りそのものを変えることは現実的ではないケースがほとんどです。そのうえでできることとして、欠けの方位に観葉植物や盛り塩皿を置く、鏡を活用する、常に清潔に保つといった伝統的な対策があります。また、欠けが鬼門・裏鬼門に重なっているかどうかを改めて確認し、重なっている場合はその方位の使い方(水回りを避ける、収納として使うなど)を見直すことも一つの手です。
鑑定上の典型例として、欠けの大きさが矩形全体の1/3未満であれば大きな問題としない見解が多いことも知っておくとよいでしょう。それでも不安が拭えない場合や、自分の間取りの欠けが実際にどの程度なのか専門家の目で確認してほしい場合は、一級建築士による間取り風水診断という選択肢もあります。図面をもとに、欠けの割合・方位・鬼門との関係を具体的に確認し、建築的な観点と家相的な観点の両方から現実的な対策をご提案します。
L字型の家の風水に関するよくある質問とまとめ


Q. L字型の家は家相が悪いのですか
欠けの有無・大きさ・方位によって判断が分かれるため、一律に「悪い」と断定はできません。一般的な目安として、矩形に対して1/3を超える凹みがある場合に欠けとして影響が語られやすいとされていますが、この数値も流派により差があります。
Q. 欠けと張りの違いは何ですか
建物の外形を矩形で囲んだとき、出っ張っている側が「張り」、引っ込んでいる側が「欠け」と呼ばれます。一般的には欠けの方が問題視されやすい傾向にありますが、判断は流派・鑑定士により見解が分かれます。
Q. L字型の家に住んでしまった場合、何か対策はありますか
観葉植物・盛り塩皿・鏡などの伝統的な対策アイテムを欠けの方位に配置する方法があります。あわせて、欠けが鬼門・裏鬼門と重なっていないかを確認し、水回りの使い方などを見直すことも有効です。
Q. L字型の家は地震に弱いのですか
形状そのものが弱点というわけではなく、凹凸部の構造設計・接合部の配慮がより重要になるというのが実務的に妥当な理解です。耐力壁のバランスや接合部の補強を適切に行えば、L字型でも十分な耐震性は確保できます。
まとめ——占術の理と建築の実、両方を踏まえた判断を
ここまで、L字型の家がなぜ家相・風水で「欠け」とされるのかという占術の理と、採光・ゾーニング・耐震性という建築の実の両方を整理してきました。欠けの判定基準や対策アイテムの使い方、そして設計段階・入居後それぞれで取れる現実的な行動まで一通りお伝えできたかと思います。
- 欠けは矩形に対する凹みの割合で判断し形だけで即断しない
- 目安は矩形全体のおおむね1/3超だが流派により差がある
- 出っ張りは張り引っ込みは欠けと呼び判断の重みが異なる
- 太極(家の中心)が外に出やすい点も伝統的な指摘の一つ
- 鬼門・裏鬼門に欠けが重なるかは方位角度まで確認したい
- L字型は2方向採光とLDKゾーニングに建築的な利点がある
- 二世帯住宅や変形地では矩形にこだわらない方が実利が大きい
- 耐震性は形状でなく凹凸部の構造設計と接合部次第で変わる
- 外壁・屋根形状の複雑化でコストが上がりやすい点も把握する
- 観葉植物や盛り塩は今すぐできる伝統的な対策として使える
- これから建てるなら設計段階で欠けと採光の両立を検討する
- すでに建てた家は間取り変更以外の現実的な対策から考える
- 断定表現に惑わされず流派の違いを踏まえて判断材料にする
- 費用や相場は執筆時点の目安であり地域や条件で変動する
- 最終判断は自身の命式や状況と合わせ専門家に相談して決める
占術の理と建築の実、どちらか一方だけに偏った答えはありません。「3つのものさし」——占術の理・建築の実・暮らしの利——のバランスをどう取るかは、家庭ごとの状況によって変わります。最終的にはご自身の状況・命式と合わせてご判断をいただき、気になる点があれば建築士・施工業者にもご相談ください。










