こんにちは、住まいの気学の匠庵です。玄関の風水は、清潔さと明るさの2点を先に整え、方角別の対策はその上に重ねる考え方で進めると迷いにくくなります。清潔さと明るさは流派を問わず今日から実行でき、建築の面からも理由を説明できる入口だからです。
ネットで調べると、サイトによって「この方角はよい」「いや凶だ」と書いてあることが珍しくありません。それは誰かが間違っているというより、方角を見る前提が流派ごとに違うためです。この記事では、風水とは何かという基礎を踏まえたうえで、やってはいけないことを優先順位で仕分け、割れやすい方角の見方を1つの表で整理していきます。
さて、順番にいきましょう。まずは玄関がなぜ重く見られるのか、というところからです。
- 玄関が気の入口とされる理由と流派を問わない共通点
- やってはいけないことを優先順位で仕分ける考え方
- 方角を何を基準に見るかと流派ごとの違い
- 変えられない玄関でも今日からできる整え方
玄関風水が重視される理由|気の入口とされる考え方

この章では、玄関が重く見られる背景、流派が違っても共通する入口、そして建築から見た玄関の位置づけを順に確かめます。方角の話に入る前に、土台となる考え方をそろえておきましょう。
玄関が「気の入口」とされる理由

風水では、玄関は家の出入口であり、気が入ってくる場所と考えられています。人も物も空気も、玄関を通って家に入るわけです。そのため、家の中でも玄関の状態が全体の印象や住み心地に響くと見る立場があります。
考え方の源流の一つとして、古い住宅風水の書『宅経』が挙げられます。『宅経』は著者不詳で、伝説上の黄帝に仮託された書とされ、清の乾隆46年(1781年)に校上された版が知られています。この書は、住まいの門と家の大きさの釣り合いを重んじていて、たとえば次のような一節があります。
宅者、人之本
『宅経』(著者不詳・黄帝に仮託された書)
住まいは人の根本である、という意味です。同じ書には、門が大きく家の内が小さいと「二虚」、家が大きく門が小さいと「二実」と見る記述もあり、出入口の釣り合いを住まいの良し悪しの目印にしていたことが分かります。福徳の方位を「清潔で広く厚く整える」とする箇所もありますが、これは現代の玄関掃除の直接の根拠というより、手入れを重んじる発想の源流の一つと受け取るのが無理のない読み方でしょう。
ちなみに、玄関を「気口」と呼んで定義した信頼できる日本語の出典は、私は把握していません。ですので、ここでは「気の入口とされる」という一般的な言い方にとどめます。
ユイ玄関って、本当にそんなに大事なんですか?



大事にされてきた、というのが正確です。まずは玄関を整える意味を、次の章で流派をまたいで見ていきましょう。
流派が違っても共通する清潔さと明るさ
玄関風水の流派は大きく分けて、八宅派、玄空飛星、日本の家相の3系統があります。方角の見方はそれぞれ別ですが、玄関を清潔に、明るく保つという点は、どの流派でも実行できる共通の入口です。動画解説でも、玄関は清潔にすることが一番、明るくしておくのがよい、という趣旨で語られることが多く見られます。
ここで率直に言うと、八宅派の古典では、玄関(大門)の方位が判断の出発点とされます。本命卦という人ごとの区分から、大門を本人にとっての吉の方位に置くことを重んじる見方です。つまり「清潔さと明るさが先、方角は後」というこの記事の順序は、八宅派の古典の順序とは違います。
八宅派の古典では、住む人ごとに玄関の吉方位を考える(方角が出発点)。一方、現代の日本の解説書では、まず清潔さと明るさを整え、方角はその上に重ねる整理がよく見られる。どちらが正しいというより、前提の置き方が違う。
この違いを隠さずに書くのは、読者のみなさんが後で別のサイトで逆のことを読んでも、慌てずに済むようにするためです。そのうえで、清潔さと明るさを入口にする理由は2つあります。流派を問わず誰でもすぐ試せること、そして、後ほど述べるように建築の面でも理由を示せることです。
私はこのように認識しています。ここに書いた整理が唯一の正解とは限りませんので、気になる流派の考え方があれば、あわせてご覧ください。
建築から見た玄関は「居室ではない」場所
建築基準法では、居室とは居住、執務、作業、集会、娯楽などの目的で継続的に使う室を指します(第2条第四号)。
居室には、採光や換気のための開口部を求める規定があります(第28条)。住宅の居室では、採光に有効な開口部は床面積の1/7以上、換気に有効な開口部は1/20以上が目安です。条文はe-Gov法令検索の建築基準法で確認できます。
国土交通省の意見公募への回答では、住宅の浴室、トイレ、玄関、階段などは、原則として居室に該当しないという趣旨が示されています(国土交通省の回答PDF)。つまり玄関には、原則として採光1/7や換気1/20の義務がかかりません。ホールと一体で長く使うなど特殊な間取りは例外もありえますので、気になる場合は建築士や行政に確認してください。
設計の現場では、居室でないため玄関に窓を取らない計画になりやすい、という実感があります。
その場合、ドアの採光スリットや袖窓、足元や下足入れ上部の間接照明で明るさを補うのが一般的な設計の考え方です。風水が言う「明るく清潔に」は、建築の面でも理にかなっています。もちろん、科学で決着がついたという意味ではありません。
玄関の明るさは、法律が保証してくれるものではなく、設計と暮らし方で確保する性能です。
| ものさし | この記事での見方 |
|---|---|
| 占術の理 | 玄関は気の入口とされ、方角の見方は流派で異なる |
| 建築の実 | 玄関は原則として居室でなく、明るさ・通風は設計と手入れで補う |
| 暮らしの利 | 変えにくい向きは受け入れ、清潔と明るさを今日から整える |
この3つのものさしを使い分けながら、次の章でやってはいけないことを仕分けます。
玄関風水でやってはいけないこと|清潔さと明るさのNG


ネットには「玄関のNG」が山ほど並んでいて、どれから手をつければよいか分からなくなりがちです。この章では、NGを「状態」「間取り」「物」の3つに仕分けます。優先するのは、すぐ直せる状態のNGからです。
靴や荷物を出しっぱなしにする


NGは、状態(清潔さと明るさ)、間取り、物の順に見直すのが負担の少ない進め方です。状態は今日から直せ、間取りは簡単には変えられず、物は個別に判断が必要だからです。その最初が、靴や荷物の出しっぱなしです。
占術の理では、靴や荷物が玄関に散らかっていると、気の通り道をふさぐと見ます。建築の実では、床面が見えないと掃除の手が止まり、下足入れの収納力を超えた分が土間にあふれることが原因になります。理由は違いますが、片づけるという行動は同じ方向を向いているわけです。
建築士の八納啓創氏は、メディアの記事(2022年2月)で、下駄箱は収納力の8割程度にとどめるとよいとコメントしています。8割を目安にすると、ものの出し入れの余白が生まれ、散らかりにくくなります。
SNSでは、「玄関の靴は1人1足にする」「履かない靴は出さない」といった目安が広く語られています。ただ、これは古典に根拠があるというより、行動のハードルを下げるための経験則の紹介にすぎません。靴の数を決めつける必要はありません。
家族が多い家では、1人1足を守ろうとして、かえって息苦しくなる場面もあります。そんなときは、玄関の床が半分以上見えているか、というくらいの緩い物差しで十分です。玄関は暮らしの道具置き場でもありますので、家族の動線に合わせて調整するのが、長続きのコツでしょう。



全部片づけるのは無理……そんな日もあります。



全部やらなくて大丈夫です。今日は一足そろえる、そのくらいから始めるのが長続きします。
湿気・におい・汚れを放置する


玄関は土間で外気に接し、靴が雨や汗の水分を持ち込む場所です。しかもドアを閉めると風が抜けにくく、土間や下足入れに湿気がこもりやすい構造をしています。湿気がたまると、においやカビ、汚れが連鎖して悪くなるわけです。
東京都の「健康・快適居住環境の指針」では、湿度の目安として40〜60%が示されています。玄関に限った公的基準は見当たりませんが、一般的な目安として頭に置いておくと便利です。においについても数値の基準はありませんので、換気と湿気管理で抑えるのが基本になります。
国土交通省の講習テキストでも、断熱・防湿・気密が不十分だと結露やカビ、木材の腐朽を招くとされています。
これも玄関に限った話ではなく、住まい全体の一般論ですが、土間と外気が近い玄関ではとくに意識したい点です。見た目はきれいでも、下足入れの奥や土間の隅に湿気が残っていることがありますので、掃除のついでに扉の内側ものぞいておくと安心です。風水で言う「清潔に」は、建築の面でも湿気を溜めないという意味で同じ方向を向いています。
今日からできる対処は、短い手順にまとめられます。設計の一般的な注意点として、下足入れには扉の通気ガラリなど空気の抜け道があると、湿気がこもりにくくなります。
- 玄関ドアを短時間開けて、空気を入れ替える
- 濡れた傘や靴は、土間に放置せず乾かす
- 下足入れの扉を時々開けて、中の空気を動かす
- 土間の砂やほこりを、決まった曜日に掃く
北や北東の玄関は冬に冷えやすいと言われますが、これは断熱や構造の影響が大きい話です。方角そのものを責める前に、湿気と換気を見直すのが近道です。
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暗いまま、電球切れや壊れを放置する


暗い玄関を避けたいのは、占術でも建築でも同じです。風水では、玄関は陽の気を受け入れる場所なので明るく保つのがよいとされ、建築では、足元が見えないことが転倒や出入りのしにくさに直結します。先ほど触れたように、玄関は原則として居室でないため、明るさは自分で確保する性能になります。
対処は地味ですが、電球切れや照明の壊れ、ドアの傷みを放置しないことが第一歩です。とくに足元まで光が届いているかを、夜に一度確かめておくとよいでしょう。
照度の目安として、旧JIS Z 9110:2010の推奨照度では、玄関(内側)の全般は100lx、靴脱ぎは200lxとされています。JIS Z 9110は2024年12月に改正され、屋内照明の要求事項はJIS Z 9125に集約されたと、メーカーの解説で案内されています。数値は使用中に下回らない平均値の目安であり、風水的に正しい明るさを示すものではありません。
照明の色や器具選びは、とても奥の深い話です。ここでは詳しく踏み込まず、いずれ別の機会にじっくり扱います。
ちなみに設計の現場では、玄関の照明は「点ける」より「点けっぱなしにしても気にならない」ことが大事だと考えます。帰宅時に暗いと靴を脱ぐ動作が雑になり、片づけも後回しになりがちです。灯りの整えは、結局のところ前の節の靴の片づけとも、地続きになっているわけです。



玄関に窓が取れない家では、足元を照らす後付けの灯りも現実的です。人感センサーで点灯するタイプなら、電気の消し忘れも防げます。
間取りに由来するNG(正面の窓・門との一直線・正面の階段)
状態のNGの次は、間取りに由来するNGです。これは直すのが難しいぶん、まず自宅が該当するかを知ることが大切です。代表的なものは、玄関正面の窓、門と玄関の一直線、玄関正面の階段の3つです。
玄関の正面に窓があると、入った気が抜けてしまうとして「洩財宅」と呼ばれ、財が漏れる家とされることがあります。門と玄関が一直線に並ぶ配置も、風水では気が直進しすぎるとされる一方、防犯の面でも外から見通されやすい点が指摘されています。正面の階段は、詳しい対策は別の機会に扱い、ここでは玄関から視線や動線が上階へまっすぐ伸びる配置、と押さえておきます。
ここで注意したいのは、採光の窓を塞ぐ対策は勧めないことです。正面の窓は、玄関の明るさを支えている場合があります。風水の「気が抜ける」と建築の「明るさを確保する」がぶつかるときは、断定せず、両方の事情を並べて判断するのが現実的です。
| 間取りNG | 風水での扱い | 建築から見た注意 |
|---|---|---|
| 玄関正面の窓 | 洩財宅とされ、気が抜けると見る流派がある | 採光を担う場合があり、塞ぐと暗くなる |
| 門と玄関の一直線 | 気が直進すると見る | 外から見通されやすく、防犯面でも避けたい配置 |
| 玄関正面の階段 | 気の流れに影響すると見る | 視線・動線の抜けと、上下階の温度差に注意 |



正面の窓は、塞ぐべきなんでしょうか?



慌てて塞ぐ必要はありません。まず図面と現地で、採光の役割を確かめてから考えましょう。
なお、自宅の間取り図で玄関の位置や家の中心を確かめたい方は、間取り診断ツールが目安になります。図面を読み込むだけで、玄関や水回りの位置を家相の定説に沿って確認できます。窓を塞ぐような工事は、建築士・施工業者にご相談のうえで進めてください。
鏡・水槽・飾りなど物のNGは個別に確かめる
物のNGとしてよく挙がるのは、鏡、水槽、剥製、ドアの飾り、季節外れの物などです。ただ、これらは可否が流派や書き手によって割れるため、ここでは一覧として紹介するにとどめます。たとえば鏡は、置く位置の左右の考え方が流派で異なります。
個別の判断は、風水で玄関に置くと良いもの10選の記事でじっくり確かめられます。こちらでは置く物の理由や避けたい物までを扱っていますので、気になる品があれば参照してください。
ここで大事なのは、物のNGに振り回されすぎないことです。迷ったときは、状態、つまり清潔さと明るさに戻ってください。鏡があっても、きれいに磨かれて明るい玄関と、物が散らかった暗い玄関とでは、どちらを整えるべきか明らかなわけです。
優先順位はこうなります。まず状態(清潔と明るさ)、次に間取り、最後に物です。物のNGを気にする余裕が出てきたら、そのときに改めて確かめれば遅くありません。
なお、物のNGの一覧は、サイトによって項目も理由もばらばらです。一つの記事で「NG」とされた物が、別の記事では「おすすめ」とされていることも珍しくありません。だからこそ、一覧を鵜呑みにせず、自宅の状態と照らして一つずつ判断していくのが現実的です。
玄関風水の方角の考え方|流派で吉凶が割れる理由


方角は、玄関風水でいちばん不安になりやすい部分です。この章では、まず何を基準に方角を見るかを決め、流派ごとの違い、8方位の早見、鬼門、変えられない玄関の順に整理します。
玄関の方角は「家の中心から見た位置」か「ドアの向き」か


玄関の方角と言っても、基準は2通りあります。
1つは、家の中心から見て玄関がどの方位にあるかという「位置」。もう1つは、玄関ドアがどちらを向いているかという「向き」です。ここを取り違えると、同じ家でも結論が変わります。
たとえば、家の北側に玄関があり、ドアが西を向いている家を考えます。位置で見れば「北の玄関」、向きで見れば「西向きの玄関」です。調べたサイトがどちらの基準で書いているのかによって、吉とも凶とも読めてしまうわけです。
実際、記事によって基準が違い、家の中心から見るもの、部屋の中心から見るものなどが混在しています。
測り方の詳細は、別の記事に譲ります。家の中心の出し方や真北と磁北のズレは風水の方角の見方で、家の中心の考え方は家の中心の記事で詳しく解説しています。
実務では、図面上の北と、方位磁針が指す北には差があります。真北と磁北のこの差を踏まえて測る必要があることは、覚えておいてください。偏角の具体的な値は地域で異なりますので、正確に測りたいときは国土地理院などの公表値で確かめるのが安心です。
まずは、自分の玄関がどちらの基準で語られているのかを意識して読むだけでも、情報の食い違いはかなり整理できます。
| 見方 | 基準 | 例(北に玄関・ドアは西向き) |
|---|---|---|
| 位置 | 家の中心から見た玄関の位置 | 北の玄関 |
| 向き | 玄関ドアが向いている方位 | 西向きの玄関 |
八宅派・玄空飛星・日本の家相で見方が違う
方角の吉凶が流派で割れるのは、誰かが誤っているからではなく、前提が違うからです。ここでは3つの系統を1つの表にまとめます。分類は文献や流派で異なる旨をお断りしておきます。
| 系統 | 判定の起点 | 必要な情報 | この記事での扱い |
|---|---|---|---|
| 八宅派 | 住む人の本命卦と家の向きの相性。大門(玄関)を本人の吉方に置く | 生年と性別、家の向き | 考え方の紹介にとどめ、計算はツールに委ねる |
| 玄空飛星 | 建築時期の元運の星を飛ばし、家の向きの星を見る。本命卦は使わない | 建築時期、家の向き | 考え方の紹介にとどめる |
| 日本の家相 | 鬼門(北東)・裏鬼門(南西)に玄関や水回りを避けるなど | 家の中心と各方位 | 次の節以降で扱う |
八宅派と玄空飛星は中国の風水の流れですが、見るものが違います。日本の家相は鬼門を強く気にする傾向が日本独自のものとされ、八宅派風水とはかけ離れていると説明されることもあります。日本で「風水」として語られる玄関の方角は、これらが混ざっている場合が多いと言えるでしょう。
「自分の家はどれで見るか」は、はっきり決める必要はありません。すでに家に住んでいるなら、まず日本の家相の鬼門・裏鬼門を意識するか、住む人の本命卦で見る八宅派を試すか、くらいの選び方で十分です。九星気学の方位は、また別の見方になりますので、九星気学の方位とはで確かめてください。
本命卦の出し方や、東四命・西四命の割り当ては、この記事では書きません。計算を誤りやすい部分ですので、後ほどご紹介するツールに任せるのが安全です。
8方位の早見と日射から見た玄関の特徴
玄関が各方位にあるときの一般的な見方と、日射の特徴を表にまとめます。風水の方角と、日射の方角は別の話ですので、分けて眺めてください。方位係数は、水平面の日射量を1としたときの垂直面の比率で、国土交通省の講習テキストの東京など6地域の値を丸めています。
| 玄関の方位 | 風水での一般的な見方(流派差あり) | 日射・建築の特徴(夏/冬の方位係数) |
|---|---|---|
| 北 | 評価が流派で割れる | 0.34/0.26。冷えやすさは断熱や構造の要因が大きい |
| 北東 | 鬼門にあたり、家相で気にされる | 0.43/0.33 |
| 東 | 朝日の入る方位として好まれることが多い | 0.51/0.58 |
| 南東 | 吉方として語られることが多い | 0.50/0.83 |
| 南 | 明るさと結びつけて語られる | 0.43/0.94 |
| 南西 | 裏鬼門にあたり、家相で気にされる | 0.49/0.76 |
| 西 | 西日が入る方位として語られる | 0.50/0.52 |
| 北西 | 評価は流派で分かれる | 0.43/0.32 |
この表の風水の見方は流派により異なり、吉凶の断定ではありません。日射のほうは、冬は南面ほど大きく、夏は東西面が大きいというのが国土交通省の資料の読み取りです。
東向きの玄関は朝日が入る、と単純に考えがちですが、日の出の方位は季節で振れます。東京近辺では、冬至は東南東寄り、夏至は東北東寄りから昇ります。地点によっても変わりますので、あくまで目安として受け取ってください。
また、東西面は朝夕の低い角度の日射が入るため、遮ることが大切だという建築側の指摘もあります(国土交通省の設計ガイド、令和7年3月)。ただし、これは風水の吉凶と結びつけず、暮らしの快適さの話として読んでください。各方位の深掘りは、別の機会に扱います。
自分の玄関が吉方位かどうかは、本命卦と家の向き(坐向)で変わります。下のツールなら、生年月日などから自宅の玄関の方角を確かめられます。
あなたの家の「吉方位」、ご存じですか?
生年月日と自宅の向きを入れるだけ。本命卦・八宅の吉凶8方位を自動診断し、住まいの風水を100点満点でスコア化します。
風水 自動計算ツールを使ってみる →鬼門・裏鬼門に玄関がある家の考え方


鬼門に玄関があって眠れない、不運が続くのでは、と不安になる方は少なくありません。まず気持ちを軽くしておきたいのですが、鬼門は北東、裏鬼門は南西という整理は複数の資料で一致しており、その範囲に玄関があるだけで悪いことが起きると決まっているわけではありません。
一級建築士が執筆した解説記事(2022年3月)には、鬼門に玄関があっても悪いことが起きる根拠はない、という趣旨の指摘があります。ただし、範囲は流派で違い、北東を中心に15〜75度とするもの、22.5〜67.5度とするものがあります。住宅の現場でも、鬼門玄関の評価は割れるのが実情です。
鬼門の由来は、後漢の王充『論衡』が、より古い説話を引いたことにさかのぼるとされます。ただ、由来の細部は深入りしないでおきましょう。不安を増やすためでなく、考え方の背景として1文だけ触れておきます。
ここで、私の見方も添えておきます。鬼門玄関の家を設計や点検で見る機会は、現場では決して珍しくありません。そうした家で気にするのは、方角そのものより、玄関が暗くないか、湿気がこもっていないか、という足元の状態です。
脅すような言い方をするサイトもありますが、不安を煽られて飾りを手放したり、引っ越しを急いだりする必要はありません。流派でも評価が割れる部分は、断定せずに受け止めるくらいの距離感がちょうどよいと考えます。
すでに住んでいる家であれば、落としどころは単純です。清潔、明るさ、通風から整えます。具体的には、次の3つです。
- 靴を減らして土間を拭き、床を見える状態にする
- 電球を点検し、足元まで光が届くようにする
- 玄関ドアを開けて、風を通す時間をつくる



鬼門に玄関があって、夜も眠れなくて……。



大丈夫です。慌てずに、まず足元の掃除と電球の点検から。不安を煽る情報より、手を動かすほうが、心はずっと落ち着きます。
向きを変えられない玄関で優先すること
賃貸やマンション、建築済みの家では、玄関の向きは変えられません。住宅・土地統計調査(令和5年・2024年9月25日公表)では、借家が35.0%、共同住宅が44.9%とされています。変えられない玄関で暮らしている方は、決して少数ではないわけです(総務省統計局の調査概要)。
そこで優先順位は、清潔、明るさ、方角の順です。方角はそのまま受け入れて構いません。今日できることは3つに絞れます。
- 靴と荷物を片づけ、土間を拭く
- 電球を点検し、足元を明るくする
- 方角は変えられないものとして受け入れる
八宅派の古典にも、東西の宅(家)を変えにくい場合は大門を改める、という趣旨の記述があり、玄関を動かせないなら別の部分で補う順序が示されています。変えられないものを嘆くより、できる部分を整えるというのは、昔からの知恵なのでしょう。
マンションの玄関では、共用廊下側の照明や、ドア周りの手入れが自分の裁量では変えられない場合もあります。その場合は、室内側の土間と下足入れの範囲に絞って整えれば十分です。共用部分の不具合は、管理会社や管理組合に伝えるという選択肢もあります。
サイトによって情報が真逆で戸惑うときの拠り所も、同じです。流派によって前提が違うのですから、迷ったら、流派を問わず実行できる清潔さと明るさに戻ってください。



賃貸だから、何もできないと思っていました……。



できることは意外とあります。方角は動かせなくても、床と灯りは今日から変えられますよ。
玄関風水のよくある質問とまとめ


基本の整え方と方角の考え方を押さえたら、あとは個別の対策と、読者のみなさんからよく届く疑問です。この章では次の一歩の道筋、FAQ、まとめを順に確かめます。
色・マット・鏡・植物は次の一歩で整える
状態と方角の基本を整えたあとで、個別の対策に進みます。個別の対策には、玄関の色、マット、鏡、植物、置物、玄関に飾る絵などがあります。それぞれ、選び方や置き方で意見が分かれる主題ですので、基本が整ってから読むほうが判断しやすくなります。
公開している記事のうち、置く物については風水で玄関に置くと良いもの10選、飾る絵については風水で選ぶ玄関の絵で、建築士の目線から詳しく解説しています。それぞれ、理由から確かめられる構成にしています。
色の選び方やマットの素材、鏡の置き方、植物の種類などは、それぞれ主題が大きく、1つの記事に詰め込むと読みにくくなってしまいます。そのため、この記事では主題名を挙げるだけにとどめました。
まず基本、次に個別。この順序を守ると、情報が多くても迷子になりません。
実際のところ、色やマットといった個別の対策は、流派や書き手によって勧める内容が大きく違います。基本の状態が整っていない玄関に、色や置物だけを足しても、狙った効果は見込みにくいと考えるのが自然でしょう。
逆に、清潔さと明るさが整った玄関なら、好みの色や素材を選んでも、大きく外すことはありません。個別の対策は、玄関を好きになるための仕上げ、くらいの位置づけで楽しんでください。
さて、その前に、読者のみなさんからよく届く疑問を先に片づけておきましょう。
よくある質問
読者のみなさんからよく届く疑問に、短く答えます。
Q. 靴は1人1足にすべき?
1人1足は、SNSで広がる目安の一つで、古典に根拠があるわけではありません。大切なのは数ではなく、土間に靴が散らばらず床が見える状態です。まず一足そろえる、収納力の8割程度に収めるなど、続けられる範囲で調整してください。
Q. スマホのコンパスで方角を測ってよい?
おおまかな目安にはなりますが、磁北を指すため、真北とのズレや周囲の金属・電子機器の影響で誤差が出ることがあります。図面上の北は真北を基準にすることが多いので、正確に見たいときは、測り方を風水の方角の見方で確かめてください。
Q. 窓がなく暗い玄関はどうする?
玄関は原則として居室でないため、採光1/7の義務がなく、窓のない玄関は珍しくありません。その分、足元や下足入れ上部の間接照明、人感センサーライト、電球の点検など、明るさは自分で確保します。工事を伴う変更は建築士にご相談ください。
Q. サイトによって風水の情報が真逆なのはなぜ?
八宅派、玄空飛星、日本の家相など、流派によって方角を見る前提が違うためです。どれかが誤りとは限りません。基準が位置か向きかでも結論が変わりますので、拠り所に迷ったら、流派を問わず実行できる清潔さと明るさに戻ってください。
玄関風水は清潔さと明るさから始める
ここまでの内容を振り返ります。玄関風水は、清潔さと明るさの2点をまず整え、方角はその上に重ねる順序で進めると、迷いが減ります。やってはいけないことは、状態、間取り、物の順に見直すと、負担が軽くなります。
方角は、家の中心から見た位置か、ドアの向きかで結論が変わり、八宅派、玄空飛星、日本の家相で前提も違います。鬼門に玄関があっても、向きを変えられなくても、清潔、明るさ、通風という入口は今日から実行できます。
占術の理、建築の実、暮らしの利の3つのものさしで見ると、玄関を整えるという行動は、どれにも通じています。まあ、いきなり完璧を目指す必要はありません。
なお、方角の吉凶や流派の見方は、最終的にはご自身の状況・命式と合わせてご判断ください。窓の変更や玄関まわりの工事などの建築・リフォームの実務は、建築士・施工業者にご相談のうえで進めてください。基礎から確かめ直したい方は、風水とはの記事に戻ってみてください。
- 玄関風水はまず清潔さと明るさの2点を整える(方角はその上に重ねる)
- 玄関が気の入口とされる考え方は古典の一部で、流派により整理が異なる
- 流派が違っても清潔さと明るさは共通して実行できる入口になる
- 玄関は原則として建築基準法の居室に当たらず、明るさは自分で確保する
- 靴や荷物の出しっぱなしを減らし、履かない靴は玄関に出さない
- 下足入れの通気とこまめな換気で湿気とにおいを溜めない
- 玄関内側の照明は電球切れを放置せず、足元まで光が届くようにする
- 間取り由来のNGは、まず自宅が該当するかを図面で確かめる
- 玄関正面の窓を採光のために塞ぐ判断は、建築士に相談してから行う
- 鏡・水槽・飾りなど物のNGは流派で割れるため、個別記事で確かめる
- 玄関の方角は家の中心から見た位置とドアの向きを分けて確認する
- 八宅派・玄空飛星・日本の家相では方角の見方が異なると知っておく
- 鬼門に玄関があっても慌てず、清潔・明るさ・通風から整える
- 向きを変えられない玄関は、方角を受け入れ今日できる整えから始める
- ご自身の状況・命式と合わせて判断し、実務は建築士・施工業者に相談する
玄関は、完璧に整えるための場所というより、毎日の出入りの中で少しずつ手入れしていく場所です。清潔さと明るさという入口を整えておけば、方角の見方が流派で割れていても、慌てずに判断する土台ができます。気になる流派や主題があれば、次の記事で個別に確かめてみてください。
玄関まわりをさらに整えたい方へ。置く物の選び方、飾る絵の選び方、九星気学の方位の考え方を、次の記事で順に確かめられます。




