こんにちは、住まいの気学の匠庵です。庭に木を植えるとき、どの方角に何を置けばよいのか迷う方は多いと思います。切ってよいのかどうかで、不安になる方もいらっしゃいます。
庭風水で私がお伝えしたい結論は、外壁・屋根の色と庭木の配置を合わせて整える、ということです。ただし、前提があります。
古典に根拠が一部あるのは、庭木のほうです。外壁・屋根の色は、五行(木・火・土・金・水で物事を分ける考え方)を当てはめた現代の応用だと考えます。
それでも一体で考えるのは、建築の面で理にかなっているからです。西日、暑さ、景観、お手入れは、色と木を別々に決めると食い違いやすくなります。占術の理、建築の実、暮らしの利という3つのものさしで、順に見ていきます。
風水そのものの基本から知りたい方は、先に風水とはを解説した記事をどうぞ。
- 庭風水で古典に根拠がある部分とない部分
- 方位の基準を先に決める考え方
- 外壁・屋根の色を遮熱と景観から絞る手順
- 庭木を成長後の大きさから選ぶ位置の決め方
庭風水とは|庭と外観が住まいに与える影響

この章では、庭風水が何を見る考え方なのか、古典はどこまで言っているのか、方角は何を基準に見るのかを順に見ていきます。流派で答えが割れたときの決め方まで進みます。占術の理で土台をそろえ、建築の実と暮らしの利で現実に引き戻す流れです。
庭風水で見るのは気の入口と外観
庭風水が見るのは、敷地に入って玄関に着くまでの庭・門・アプローチと、外から見える外壁・屋根の色です。この記事では、そこを「気の入口と外観」としてひとまとめに扱います。対象は屋外だけで、室内の観葉植物は別の話です。
風水というと、占いの印象が強いかもしれません。が、もとは土地の観察(山の形、風の通り、水の流れ、日当たり)から生まれた考え方だと、私は捉えています。この見方なら、建築の話とも無理なくつながるわけです。
風水の見方には、大きく2つの系統があるとされます。巒頭(らんとう)は、目に見える地形や建物から判断する方法です。
理気(りき)は、目に見えない気を、生年月日や玄関の向きに五行や陰陽を当てはめて判断する方法です。流派ごとに解釈が異なり、これが正解という答えは確立していません。
さて、ここで大事な前提を表にまとめました。庭木と外壁・屋根の色では、3つのものさしで見たときの根拠の強さが違います。
| ものさし | 庭木 | 外壁・屋根の色 |
|---|---|---|
| 占術の理 | 古典に一部の根拠がある | 五行を当てはめた現代の応用 |
| 建築の実 | 日当たり・成長後の大きさ・越境 | 遮熱・景観・防火 |
| 暮らしの利 | 手入れの手間・防犯・近隣 | 費用・メンテナンス・家族の好み |
占術の理では、庭木と色で根拠の強さが違います。が、建築の実と暮らしの利では、同じ敷地の同じ外観として一緒に計画するほうが、無理がありません。庭を変えると運気が落ちる、と言い切れる根拠は、私は把握していません。
ユイ庭と外壁、どちらから悩めばいいですか?



先に方角の基準を決めましょう。その次が外壁と屋根の色、最後が庭木です。順番に進めれば、迷いはぐっと減ります。
作庭記に見る庭木と方位の考え方


庭木の古典的な根拠として、いちばん知られているのが『作庭記』(さくていき)です。平安時代の後半、11世紀後半ごろにまとめられた庭づくりの本になります。
橘俊綱(たちばなのとしつな、1028〜1094年)の作とする説が有力です。が、作者はまだ確定していません。
書かれている庭は、寝殿造(しんでんづくり)という貴族の屋敷のものです。今の住宅の庭に、そのまま当てはまる本ではありません。
注目したいのは、木が「地形の代わり」として出てくる点です。宇野真一氏の論文「庭木の方位」が詳しく紹介しています。理想は、東に流れる水(青龍)、西に大きな道(白虎)、南に前の池(朱雀)、北に後ろの丘(玄武)です。
この地形が足りないとき、東は柳を9本、西は楸(ひさぎ)を7本、南は桂を9本、北は檜を3本植えて補う、と書かれています。ただし、楸や桂が今のどの木にあたるのかは、はっきり決まっていません。
ほかにも、東には花の木を植えるとよい、という言い伝えが出てきます。避けたい例として挙がるのは、いつも見える近くの榊、門の中心にあたる場所の木、方形や円形の地の真ん中の木などです。
大切なのは、書き手の姿勢です。付言として、こんな趣旨のことが書かれています。
どれもたわいない話ですが、庭は人の心を安らがせるものです。だから、わざわざ忌みごと(避けるべきこと)を犯すまでもない、という内容です。決まりごとというより、心の安らぎへの気づかいなのでしょう。
江戸時代の後半になると、家相書の中で、樹木や池の吉凶が細かく語られるようになります。丸山宏氏の論文(『ランドスケープ研究』61巻5号、1998年)が、その流れをまとめています。が、書ごとに内容が割れていったわけです。
何が古典で、何があとの時代の積み重ねなのか。ここを分けて読むことが、庭風水を落ち着いて読むコツです。



『作庭記』の避ける例は、決まりごとというより心の安らぎへの配慮です。そう読むと、肩の力が抜けますよ。
ここまで書いたことは、私はこのように認識しています。ここに書いたことが唯一の正しい読み方とは限りませんので、原典に当たれる方は、ぜひご自身でも読んでみてください。
方位の基準は家の中心か敷地全体か


庭の方角を考えるとき、最初につまずくのが「どこを起点に見るのか」です。庭だけの中心から測るのか、家を含む敷地全体で見るのか。ネット上の相談でも、同じ疑問が何度も出ていました。
家相・風水の基本は、家の中心から見て、敷地を八方位に分けることです。庭の真ん中から測り直すことは、しません。
家の中心は、いまは建物の重心(平面図の形の中心点)とする考え方が広く使われています。ただし、敷地全体の中心を基準にする説も、歴史的にはありました。
ネットの回答は、二つの声に分かれていました。「家を含めた敷地全体で見るのが一般的」という声と、「風水より日当たりや木の高さ、木と木の間隔のほうが大事」という声です。
建築の実としては、後者の声にも理があります。庭木は、日当たりや、成長したあとの高さと幅で決まる部分が大きいからです。占術の理と建築の実は、ここでは対立しません。
方角は家の中心から、日当たりや木の大きさは敷地の実際から。役割を分けて見ればよいわけです。
方角を決める順番は、次のとおりです。まず家の中心を出して、八方位に分けます。
次は、庭木を置きたい場所がどの方位に入るのかを見る番です。そのうえで、日当たりと木の大きさを確かめます。



庭だけ見て方角を取っていました。間違いでしょうか?



間違いと言い切るものではありません。ただ、多くの流派は家の中心から見ます。まず家の中心を決め直してみましょう。
家の中心の出し方と、磁北・真北のずれの手順は、風水の方角の見方にまとめました。家の中心の考え方そのものは、風水で家の中心で詳しく扱っています。
九星気学での方位の見方は、九星気学の方位とはをご覧ください。自宅の図面で迷うときは、一級建築士に見てもらう方法もあります。
流派で答えが割れるときの判断軸
方角と木の種類の答えは、読む本やサイトで食い違うことが多いのです。例えば北の庭木は、「白い花がよい」という説と「赤い実がよい」という説に分かれます。
南の白い花は凶、とする説まであるほどです。クワやヤナギを植えてはいけないとする記事もあれば、日本では問題ないとする記事もあります。
割れる理由の一つは、流派の多さです。家相には15を超える流派があったと紹介する、不動産会社のコラムもあります。もう一つは、語呂合わせです。
南天を「難転(なんてん)」と読む連想があります。庭の中心に木を植えると「困」の字になる、という連想もあります。どちらも、後の時代の言葉遊びから広まったのでしょう。



南の白花が凶なら、実のなる木はほとんど選べませんよね。



説が割れるのは、どの書も別々の時代と場所で書かれたからです。一つの説をすべてに当てはめないほうが、自然です。
さて、どう選べばよいのでしょうか。どの流派でも通じる土台が、4つあります。落ち葉・雑草・枯れ枝をためないこと。
風通しをよくすること。建物のすぐそばに大木を置かないこと。家との距離と、数年後の枝の広がりを見ておくことです。
どれも、建築の実で説明がつく話です。落ち葉は雨どいを詰まらせます。
風が通らない場所には、湿気がこもります。大きな木が建物に近いと、枝や根が屋根や基礎にふれやすくなるのです。
迷ったときは、次の順番で決めましょう。
- 安全と近隣(倒木・越境・防犯)を確かめる
- 自分で手入れできる大きさか考える
- 好みと、風水の言い伝えを重ねる
ずいぶんと、割れる話ばかり並べてしまいました。が、割れていること自体が大事な情報です。
最後に決めるのは、住むご自身です。迷う部分は、建築士や造園の専門家にご相談ください。
庭風水で外壁・屋根の色を選ぶ考え方


この章では、外壁・屋根の色が風水でどこまで決まるのかを見ます。そのうえで、実際には何で候補を絞るのか、塗り替えの前に何を確かめるのかを順にたどります。占術の理は「味付け」で、決め手は建築の実と暮らしの利です。
外壁・屋根の色は五行の応用として見る
外壁や屋根の色の風水は、古典に決まりがあるわけではありません。宇野氏の論文では、庭木と方位の記述に、外壁や屋根の色を決める文は出てきません。対象は『作庭記』『山水並野形図』『築山庭造伝前編』です。
庭木と色を結びつける記述も、見当たりません。ですから、これは五行の色の対応を住まいに当てはめた、現代の応用だと考えるのが正直です。
五行の色の対応は、広く知られています。木は青(緑)で東、火は赤で南、土は黄で中央、金は白で西、水は黒(玄)で北です。
この色の対応は、資料によって揺れがあります。木を緑、水を青とするものもあり、流派差があります。方角別のおすすめ色を並べた表は、この記事では作りません。
方角と色の対応を詳しく知りたい方は、風水の方角と色の関係をご覧ください。



五行の色は、便利な目印です。ただ、外壁の色を決める古典の規則ではありません。流派によって揺れがあることも、覚えておいてください。
色と庭木を一体で計画する理由は、風水ではなく建築にあるのです。西日は外壁や屋根を熱します。高くなる木は、日かげもつくります。
景観のルールも、色と緑の見え方を左右するものです。これらは同じ敷地で起きるので、別々に決めると食い違いやすいのです。
そこで、色の風水は「最後の味付け」と考えると、失敗しにくくなります。先に遮熱や景観で候補を絞り、残った中から五行で選ぶ順番です。
次の節で、その絞り方を見ます。住む人ごとの吉凶は、風水自動計算ツールで補えます。
色選びは遮熱・景観・汚れから絞る


風水の吉凶を見る前に、実務で色の候補を絞ります。軸は3つ、遮熱、景観、汚れ・退色です。風水の吉凶より先に、この3つを見てください。
まず遮熱です。太陽の光には、目に見えない近赤外線(熱として感じやすい光)が含まれます。遮熱塗料は、この光をよく跳ね返して、温度の上がり方をおさえる塗料です。
日本塗料工業会によると、同じ色でも、塗料によって近赤外線の反射率が違います。一般の塗料と遮熱塗料では、その差が遮熱の効果になります(出典:日本塗料工業会)。
屋根用には、JIS K 5675(2011年7月公示)という規格があります。が、これは屋根用で、外壁にそのまま当てはまるわけではありません。
濃い色は、遮熱塗料でも日射反射率(日光をはね返す割合)が低めになります。つまり、色による暑さの違いは、方位の吉凶ではなく、明るさと日射反射率で決まるわけです。
次に景観です。景観計画や条例は、市区町村ごとに違います。
大きな建物だけが対象の地域もあれば、戸建てにも色の基準がある地域もあります。塗り替えの前に、市区町村の景観の担当窓口へ、届出が要るかどうかを聞いておきましょう。
最後が、汚れと退色です。小さな色見本と、壁一面に塗った色とでは、見え方が変わります。日なたと日かげの両方で、なるべく大きな面のサンプルを見て決めましょう。
| 軸 | 見るポイント | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 遮熱 | 濃い色ほど日射反射率が低め | 塗料の資料で反射率を比べる |
| 景観 | 市区町村ごとに色の基準が違う | 景観の担当窓口に聞く |
| 汚れ・退色 | 面積で見え方が変わる | 大きな面で日なたと日かげを見る |
色見本は小さなものほど明るく見えます。壁一面に塗った状態を想像して、できるだけ大きな見本で決めてください。



風水の吉凶より先に、この3つで候補を絞ります。
費用の目安も、1つだけ添えましょう。外壁塗装は、30坪の住宅で60〜100万円ほどとされ、シリコン塗料の耐用年数は約10〜15年とされています。2026年10月時点の目安で、地域と条件により変動します。
執筆時点(2026年10月)の参考値です。費用や耐用年数は、リフォーム会社などが公開している情報にもとづく目安で、地域・建物・塗料によって変わります。工事の判断は、建築士・施工業者にご相談ください。
黒や濃い色の外壁は風水で凶なのか
黒い外壁は、デザインとして人気があります。が、風水のことを考えると不安になる、という声はよく聞きます。
ネット上の相談にも、「黒の外壁に黒の玄関ドアは風水的にどうか」という質問がありました。回答は、「黒は凶相」という声と、「流派で解釈が違う」という声に割れていました。
五行では、黒は水の色で、方角は北にあたります。一方で、黒を凶とみる見方もあり、読み方は流派で割れます。
どちらが正しいのか、私には言い切れません。デザインの好みと風水の板ばさみになる気持ちは、もっともです。



黒にしたいのですが、風水で凶と聞いて迷っています。



気持ちは分かります。先に、暑さ、退色、景観の3つを確かめましょう。



それで問題がなければ、黒にしても大丈夫ですか?



風水の側も、流派で読み方が割れます。納得できる説を選んで、かまいません。
3つの条件を、順に見ます。1つ目は暑さです。
濃い色は、遮熱塗料でも日射反射率が低めなので、夏に表面が熱くなりやすいことがあります。ネット上では、黒で塗って夏に暑くなった、という後悔の声もありました。
2つ目は退色です。汚れや色あせの出方に、公的な根拠は見当たりません。ですから断定はせず、大きな面のサンプルを日なたと日かげで見ることをおすすめします。
3つ目は景観のルールです。色の基準は市区町村ごとに違い、黒や濃色に制限が出る地域もあります。届出の要否は、窓口で聞いておきましょう。
3つを確かめて、それでも黒が気に入ったなら、風水側の見方を知ったうえで決めます。「黒は水の色」という見方と、凶とみる見方の両方があります。
どちらの説を採るかは、ご自身で決めてかまいません。気になるときは、外壁は落ち着いた色にして、黒は玄関ドアや付属部分に絞る、という落としどころもあります。
最後に、いえ、黒がだめだと言いたいのではありません。条件を確かめてから選べば、後悔は小さくなる、ということです。最終的には、ご自身の状況と好みで決めてください。
塗り替え前に方位と図面を確かめる
外壁や屋根の工事の前に、やっておきたい手順が4つあります。
- 図面で家の中心を出し、鬼門(北東)と裏鬼門(南西)の方位を確かめる
- 景観計画の届出と色の基準を、市区町村に聞く
- 突然訪ねてきた業者の点検に頼らず、複数社の見積もりで比べる
- 工事の前後で、劣化の状態を写真に残す
①は、色や庭木を考える前の下準備です。方位の基準が決まっていれば、あとで迷いません。②は、前の節で見たとおりです。
外壁の色そのものは、建築基準法では原則問われません。が、屋根や外壁には、燃えにくさに関する材料や構造の決まりがあります。その区域は特定行政庁(建築の許可を出す自治体)ごとに違うので、自治体か建築士に確かめましょう。
③には、理由があります。国民生活センターによると、屋根工事の点検商法の相談は、2022年度に2,885件ありました。
過去5年で最も多く、2018年度の923件の約3倍です。契約した人の8割超が60歳以上でした(出典:国民生活センター)。
手口は、「近所で工事をしている」と言って訪ねてきて、点検を持ちかけるものです。そのうえで不安をあおり、高額な工事を契約させます。
助言は、突然の訪問者に点検させないこと、その場で契約しないことです。困ったときは、消費者ホットライン188に相談できます。
見積もりは、同じ範囲と同じ条件で比べてください。金額だけでなく、塗る回数や下地の直し方も見ます。
④は、劣化の状態を残しておくためです。工事の前後で写真を比べれば、説明を受けたとおりに直ったかが分かります。
図面が手元にあれば、工事の前に方位を確かめておくと安心です。間取り図の画像から、家の中心、鬼門と裏鬼門、張りと欠けを出せるツールがあります。
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間取り診断ツールを無料で使う →庭風水で庭木を植えるときの基本


この章では、庭木の位置を決める基準を見ます。成長後の大きさ、鬼門・裏鬼門、玄関まわり、西日と目隠し、伐採の不安の順です。占術の理と建築の実がぶつかる場面は、片方に決めず、両方の理由を並べます。
庭木は成長後の大きさから位置を決める


庭木は、風水の方角より先に、成長した後の姿から位置を決めます。木は毎年大きくなり、根も枝も伸びるからです。
設計の現場では、基礎、給排水管、境界との位置関係で、外構(門・塀・庭など敷地まわりの工事)や植栽の位置が決まります。高くなる木を建物のそばに置くと、日当たり、雨どい、屋根、基礎に影響しやすくなります。
隣の敷地へはみ出すこと、つまり越境も、トラブルになりやすい点です。民法233条は、2023年4月1日に改正されました。自治体の解説では、越境した枝は、原則として木の持ち主が切ります。
ただし、次の場合は、土地の持ち主が自分で切り取れるとされています。切るよう求めて相当の期間(目安は約2週間)がすぎても切られない場合、木の持ち主が分からない場合、急ぎの事情がある場合です。根は、以前から切り取れます。
条文の細かい部分は、状況で変わります。ご自身の場合にどうなるかは、建築士や専門家にご相談ください。
風水にも、家より高くなる木を避けたい、という言い伝えがあります。理由は、流派や書によってさまざまです。建築の側にも、日照、雨どい、屋根、基礎という理由があります。
言い伝えと建築の理由が、同じ答えに行きつくこともあるわけです。具体的な距離は敷地ごとに違うため、ここには書きません。
越境と落ち葉は、ご近所との関係で、いちばんもめやすい点です。植える前に、境界から枝がどこまで伸びるかを想像してください。
植える前に決める順番は、次のとおりです。
- 敷地の境界と、基礎・配管の位置を図面で見る
- 10年後の木の高さと、枝の広がりを調べる
- 落ち葉の始末と手入れを、誰がするか決める
- 風水の方角は、その後に重ねる
最終的には、ご自身の状況と合わせてご判断ください。工事や樹木の植え替えを伴う判断は、建築士・施工業者にご相談を。
鬼門・裏鬼門側の庭の整え方
鬼門は北東、裏鬼門は南西の方位です。どちらも家の中心から見た方位で、庭だけを見て決めるものではありません。
なお、鬼門は家相書の考え方で、『作庭記』にはその記述が出てきません。ですから、作庭記と結びつけて語ることは、避けます。
家相は、中国から伝わった陰陽五行説にもとづく俗信(民間の言い伝え)、と辞典は説明しています。流派によって読み方が違うのも、この成り立ちのためです。
さて、庭側でできる整え方は、木の種類を探す前の2つです。落ち葉・雑草・枯れ枝をためないこと。風通しをよくすること。
どの流派でも通じる土台で、建築の実としても筋が通ります。湿気がたまりやすい場所ほど、この2つが効いてきます。



鬼門は家相書の考え方で、庭の古典とは別の流れです。庭では、清潔と風通しを先に、と覚えてください。
木の種類の吉凶は、説が割れます。ヒイラギや南天が鬼門の定番とされることがありますが、南天は「難転」という語呂合わせです。
防犯の面では、トゲのある低木や、死角をつくる木に注意する、という考え方もあります。木の種類の一覧は、ここでは作りません。
裏鬼門の南西側の庭は、西日の話に近づきます。西日の扱いは、後の節の「西日と目隠し」にまとめました。南西の部屋の風水は別の記事で扱っているので、ここでは庭の話に絞ります。
庭の池や水の扱いも、流派で割れます。はっきりした根拠のある情報を、私は把握していません。置くなら、手入れできる規模かどうかで決めるのが現実的です。
玄関アプローチと門まわりの植栽


玄関までの通路と門のまわりの木は、古典と建築が、別々の理由で似たことを言います。
『作庭記』は、門の中心にあたる場所に木を植えることを避けるよう書き、槐(えんじゅ)は門の近くによい、としています。門前の柳は相当の地位の人向きで、庶民の門柳は見苦しい、ともされました。身分が前提の古典なので、今の住宅にそのまま当てはめることはしません。
建築の側の理由は、現実的です。木が玄関への視線や動線をふさぐと、通りにくく、荷物も運びにくくなります。
死角ができると、防犯の面でも気になります。トゲのある低木が通路に出ると、けがのもとにもなりかねません。
| 見方 | 理由 |
|---|---|
| 古典 | 門の中心の木を避ける。心の安らぎへの配慮 |
| 建築 | 視線・動線・通行・防犯。死角をつくらない |
大きな木を玄関前に置いてよいのか、迷う方は多いのではないでしょうか。動画のコメント欄などでも、玄関前の大きなオリーブは風水的に悪いのか、という質問が見られます。条件を決めれば、答えは出しやすいのです。
次の3つを満たすなら、大きな木も選べます。通路の動線をじゃましないこと。玄関から外への視線を遮らないこと。
成長した後も、通路の幅が保てることです。どれかを満たさないなら、位置をずらしましょう。理由が古典でも建築でも、結果としてやることは同じです。
アプローチを一直線にしないほうがよい、という説もあります。が、民間の記事に見られる説で、「とされています」という程度に受け止めるのが無難です。
玄関の中の話は、玄関の風水の基本にまとめています。
西日と目隠しに効く庭木の置き方


西の庭木は、風水と建築が別々の理由で、似た位置に落ち着く例です。『作庭記』は、西を大きな道(白虎)とし、道がなければ楸を植えるとします。一方、建築では、西日をやわらげるために、枝葉の低い落葉樹など、日差しを調整できる木を使います。
ここで気をつけたいのは、この二つが偶然の重なりだということです。古典が日射を意識して西に木を植えた、という証拠はありません。ですから、「風水の根拠だから西日にも効く」とは言えないのです。
いえ、効かないと言うのでもありません。理由が別々だという点を、頭に置いておいてください。
| 見方 | 西に木を置く理由 |
|---|---|
| 古典 | 地形の代わりに楸を植えて、白虎を補う |
| 建築 | 夏の西日をやわらげ、冬は日差しを通す |
落葉樹は、夏は葉で日差しをさえぎり、冬は葉が落ちて日差しを通します。これは一般的な考え方で、日本の住宅でも使われます。



『作庭記』の西は、白虎の代わりに楸を植える、という形です。理由は地形の補い方で、日差しの話ではありません。
西日の対策は、庭木だけに頼らず、窓の日よけと組み合わせる方法もあります。
目隠しは、隣の家との視線を切るのが目的です。常緑樹(一年中葉をつける木)は一年中視線を切れますが、手入れの手間がかかります。落葉樹は、冬に視線が通ります。
手入れの少なさと目隠しの強さは、両立しにくいのが実情です。どちらを優先するかは、ご自身の敷地で決めましょう。道路側に死角をつくらない配慮も、あわせて必要です。



南西に、隣との目隠しを植えたいのですが、大丈夫でしょうか?



風水の言い伝えだけで、禁止とは言い切れません。西日と手入れの手間を見て、成長後の大きさで選びましょう。
庭木を切るときの不安と手入れ
木を切ると災いがあるのか、と不安になる方は少なくありません。長年、家と一緒にあった松を切ることに抵抗がある、という相談もありました。
切ったあとに不運が続くと、つい原因を探して、伐採に結びつけてしまう。その気持ちは、よく分かります。



大きな松を切ったら、悪いことが起きそうで怖いです。



怖くなる気持ちは、自然なものです。不運が重なると、人は原因を探したくなるものでもあります。



風水では、切ってはいけないのでしょうか。



決まりとして言い切れる根拠は、私は把握していません。切る理由が実務にあるなら、その理由を大事にしてください。
風水の言い伝えと、実務の話を分けて見ていきます。ネット上の回答も、「迷信だ」という声から、「気になるなら供えて断ってから切る」という声まで、割れていました。どれを選んでも、責められる話ではありません。
『作庭記』にも、決まりごとより心の安らぎを大事にする趣旨の付言がありました。気持ちが落ち着く方法を選んで、かまいません。
切るか残すかの判断軸は、実務です。倒れる危険があるか。隣へ越境していないか。
根が基礎や配管を傷めていないか。日当たりをさえぎっていないか。
自分で手入れできる大きさか。この5点を見れば、迷いは小さくなります。
手入れの基本は、落ち葉・雑草・枯れ枝をためないことです。流派を問わず通じる土台でもあります。大きくなりすぎた木は、切る前に、剪定(枝を切って整えること)で収まるかも考えてみてください。
剪定の費用の目安は、職人1人で1日あたり1.8万〜2.5万円です。1本あたりでは、2,500円〜3万円(高さ0〜7m未満)とされます。
出張費やごみの処理費、重機の費用が、別にかかることもあります。2026年10月時点の目安で、地域と条件により変動する点にご注意ください。
執筆時点(2026年10月)の参考値です。費用は、サービス会社が公開している情報にもとづく目安で、木の大きさ・本数・地域によって変わります。最終的にはご自身の状況と合わせてご判断のうえ、伐採や剪定は建築士・施工業者にご相談を。
庭風水のよくある質問とまとめ


この章では、個別のテーマをどの順で深めるとよいかを示します。続けて、よくある質問に答え、3つのものさしで全体を振り返ります。
庭風水をテーマ別に深める順番
庭風水を進めるときの順番を、地図としてまとめます。計画する順は、方位の基準、外壁・屋根の色、庭木、玄関まわりです。
- 方位の基準を決める(家の中心から八方位)
- 外壁・屋根の色を絞る(遮熱・景観・汚れ、五行は味付け)
- 庭木の位置を決める(成長後の大きさ・越境・手入れ)
- 玄関まわりを整える(通路・門・視線)
状況によって、読み順を変えてもかまいません。新築の外構を計画中なら、庭木から先に考えましょう。木の位置は、あとから動かしにくいからです。
築15〜25年で塗り替えの時期が来ているなら、色の絞り込みから入ります。工事の前に、景観の届出や見積もりの比較が待っているからです。
決める順序も、ここで一度まとめます。暮らしの利の面から、景観・近隣・法規の確認が最初です。次に遮熱とメンテナンス、その次に家族の好みと防犯、最後に五行の味付けです。
屋外の庭木と、室内の観葉植物は、別の話になります。室内の植物の置き方は、専用の記事をご用意しました。
各節の要点を、一文ずつ振り返ります。方位の基準は、家の中心です。流派が割れたら、手入れと風通しと、建物のそばに大木を置かないことを土台にしましょう。
色は、五行の応用で、先に遮熱と景観で絞ります。黒や濃い色は、暑さ・退色・景観ルールの3つの確認が先です。
庭木は、成長後の大きさから位置を決めます。鬼門・裏鬼門側は、清潔と風通しが先です。玄関まわりは、視線と動線を妨げないこと。
西は、古典と建築の理由を分けて見ます。伐採は、気持ちの整理と実務で決めます。
庭風水のよくある質問
よくいただく質問に、本文の結論を短く再掲してお答えします。
庭に植えてはいけない木は本当にありますか
決まった一覧はなく、書や流派によって説が割れます。『作庭記』の避ける例も、決まりごとというより、心の安らぎへの配慮でした。木の種類を探す前に、手入れ、風通し、成長後の大きさを先に整え、迷うときは専門家に相談してください。
庭の池や水鉢は風水的に置いてもよいですか
流派で割れます。『作庭記』では、南の池は四神の地形の一つですが、家相書では、家が水面に映る池鏡が嫌われました。池も水鉢も、水の手入れがきちんとできる規模かどうかを見て、無理のない大きさから決めましょう。
シンボルツリーを1本だけ植えるのは凶ですか
凶と言い切れる根拠は、私は把握していません。庭の中心に木を植えると「困」の字になる、という連想はありますが、語呂合わせの域を出ません。家からの距離と、成長後の大きさのバランスを見て、位置を決めましょう。
家より高くなる木は風水でも建築でも避けるべきですか
風水の言い伝えと、建築の理由は別々です。風水では家より高い木を避けたいとする説があり、建築では、日当たりや雨どい、屋根、基礎への影響が出やすくなります。建物のそばには置かず、成長後の高さから位置を決めましょう。
外壁・屋根の色と庭木は、どちらを先に決めればよいですか
塗り替えの時期が決まっているなら色を、新築の外構なら庭木の位置を先に考えます。どちらも、景観ルール、遮熱、近隣の事情を先に確かめ、五行の色はそのあとの最後の味付けとして重ねてください。迷うときは、建築士にご相談ください。
まとめ|庭風水は外観の色と庭木を一体で整える
庭風水は、外壁・屋根の色と庭木を一体で整える考え方でした。古典に根拠があるのは庭木の一部で、色は現代の応用です。建築の実では、一体で計画することに合理性があります。
3つのものさしで振り返ります。占術の理は、庭木に『作庭記』の根拠が一部あること、色は五行を当てはめた応用で流派差があることでした。
建築の実は、遮熱、景観、成長後の大きさ、越境です。暮らしの利は、手入れ、費用、近隣、家族の好みでした。
まずは、ご自宅の図面で家の中心を出すところから始めてみてください。庭木の位置も外壁の色も、方位の基準が決まれば、迷いがぐっと減ります。



方位の基準を決めて、色を絞り、庭木は成長後の姿から選ぶ。迷ったら、この順番に戻ってきてください。
次のチェックリストで、ご自身の進み具合を振り返ってみてください。
- 庭風水で見るのは庭・門・アプローチと外壁・屋根の色までと範囲をはっきりさせておく
- 庭木の古典的な根拠は作庭記にある四神の代用と心の安らぎへの配慮だと知ったうえで読む
- 外壁・屋根の色の五行対応は古典の規定ではなく現代の応用で流派差があると覚えておく
- 庭の方角を考える前に家の中心など方位の基準点を決めてから敷地を八方位に分けて見る
- 方角と木の種類の対応は流派や書物によって割れるので一つの説だけで決めつけないようにする
- どの流派でも通じる土台は手入れと風通しと建物のそばに大木を置かないことだと押さえておく
- 外壁・屋根の色は風水の吉凶を見る前に遮熱と景観ルールと汚れの出方から絞って考える
- 濃い色は遮熱塗料を使っても日射反射率が低めになりやすい点を先に確かめてから選んでいく
- 塗り替えの前に市区町村へ景観計画の届出や色の基準があるかどうかを問い合わせておく
- 突然訪ねてきた業者の点検に頼らず複数社の見積もりと劣化の写真で落ち着いて比べて決める
- 庭木は成長した後の大きさと隣地への枝や根の越境を見越して植える位置を決めておくようにする
- 鬼門と裏鬼門の側の庭は木の種類を探す前に清潔さと風通しを先に整えることから始めていく
- 玄関アプローチと門の中心には視線や通行のじゃまになる木を置かないよう気を付けておく
- 西日と目隠しの庭木は古典の理由と建築の理由を分けて考えたうえで位置を選んでいく
- 庭木を切るか迷ったときは気持ちの整理を済ませてから越境や根や倒木の実務で決めていく
庭風水は、運気を言い切るものではなく、外観を整える目安です。古典の根拠と建築の理由を分けて見れば、割れる情報にも落ち着いて向き合えます。最終的にはご自身の状況と合わせてご判断を、工事や樹木の判断は建築士・施工業者にご相談ください。
風水の全体像に立ち返りたいときは、風水とはの解説もあわせてご覧ください。
続けて読むと理解が深まる記事をご紹介します。間取りと風水の考え方、方角を図面で確かめる手順、凹凸のある家の見方を、必要なところから確かめられます。


